習近平主席が中米・カリブ訪問 隠されたメッセージとは?

 中国の習近平国家主席は、1日から、カリブ海・中米3ヶ国を訪問している。まず1日には、トリニダード・トバゴで首脳会談を行った。同国でカリブ海諸国の大統領らと個別会談し、医療などで30億ドルの資金供与を表明した。2日には中米コスタリカ、4日にはメキシコを訪問。
 さらに7日には渡米し、カリフォルニア州でオバマ大統領と会談する予定だ。
 海外各紙は、習主席の思惑を分析した。

【中米諸国へのメッセージ】
 2007年の国交樹立以来、中国の国家主席によるコスタリカ訪問は2度目となる。
 中米諸国は長らく台湾を支持してきたが、米国からの援助が減少したため、2007年の中国との国交樹立は転機となったとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
 今回の訪問で習主席はインフラ建築で約3億ドルの投資を約束した。
 「この訪問は、台湾とのつながりから引けばうま味があるという、他の中米諸国への明らかなメッセージだ」という大学教授の見解をニューヨーク・タイムズ紙は掲載した。

【メキシコとの関係修復】
 習主席のねらいの1つに、工業製品の生産と輸出の主要な競争相手であるメキシコとの関係修復も挙げられている。
 「中国は特に自動車業界でメキシコの製造業への投資の強いメッセージを送るだろう」という専門家のコメントをニューヨーク・タイムズ紙は掲載。同紙は、米国がこのような魅力的な提案をしないことを問題視した。

【米国は中国とは対照的?】
 中国はインフラ建設のため、カリブ海諸国に数十億ドルを援助している。
 一方、習主席より一足先に同地域を訪問した米国のバイデン副大統領は、クリーンエネルギー研究の支援、貿易と投資の障壁解体を約束したものの、新しい取り組みは発表しなかった。
 カリブ海諸国には米国に軽視されているとの不満がある。ニューヨーク・タイムズ紙は、米中両国は経済規模の小さい国に何を提供するかで対照的だったと報じた。
 今回の習主席の訪問は、中国・米国にとって、中米諸国との関係が「パトロン」から「パートナー」にどのように移行するかの兆候だとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。

Text by NewSphere 編集部