トルコ反政府デモ 副首相の「代理」謝罪の効果はあるのか?
公園の再開発反対デモに警察が実力行使するなどして、全国規模の反政権運動に発展したトルコのデモについて、アルンチ副首相は4日、北アフリカ外遊中のエルドアン首相に代わって謝罪した。
一連のデモに関連して、これまでに2人が死亡、300人以上が負傷、少なくとも1750人が拘束されたと伝えられている。
【副首相の“代理”謝罪】
アルンチ副首相は「初期の事態におきまして、環境への関心に基づいて行動した方々に対し過剰な暴力が行使されたことは、誤りであり不当でありました」、「民主主義は、反対なしには存在し得ません」などと謝罪した。
一方で副首相は、「路上で被害をもたらし、人々の自由を妨げようと試みた者たちへは」謝罪する必要はないとも述べた。
また、副首相はツイッターなどのソーシャルメディアは信用できないと発言、事態を誤解しているとして外国メディアを批判した。
なおトルコの主要メディアは抗議について詳しく報道しておらず、報道統制が疑われている。
【デモの現状と謝罪への反応】
抗議活動は5日目になるが、騒乱の発端となったイスタンブールのゲジ公園はいまだデモ隊に占拠されており、道路にはバリケードが築かれている。都市によっては、なおも警察との衝突が発生している模様だ。
デモ隊の人々はアルンチ副首相の謝罪を信用していないようだ。ニューヨーク・タイムズ紙によると、「エルドアン(首相)が前に言っていた事と何も違わないけど、口調だけはマイルドだね」、「エルドアン(首相)自身が登場し、意思決定において真剣に私たちを考慮するまで、我々はここに残ります」などといった声が挙がっている。
エルドアン首相は、数十万人規模の平和的抗議を、政権転覆を狙う一部の「過激派」「役立たずども」などと呼んできた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、エルドアン首相が厳しいレトリックを掲げ、より穏健な閣僚がフォローするというのは、トルコ政界ではお馴染みの光景だと評している。
【今後の展望】
エルドアン首相は、外遊から帰国する6日には事態は解決していると予測しているようだ。
一方アナリストは、週末になれば、働いていた中産階級のデモ参加者はまたデモに戻ってくると考えている。
3日に10.5%もの急落を見せたトルコ株価は、謝罪のあった4日、4.9%回復した。しかし、やはりアナリストは、デモ隊が首相の直接謝罪などに納得しない限り、市場の不安定は続くと警告している。
なおトルコ政府のデモ対応については、米国も公式に懸念を表明している。さらに国連人権高等弁務官事務所も、国際人権基準違反の可能性について「迅速、徹底、独立、公平」な調査を求め、加害者は法廷に引き出されるべきだと声明した。