米中サミット迫る 中国の狙いは、成果よりも「ハク付け」?

 6月7日~8日、中国の習近平国家主席がカリフォルニア州ランチョ・ミラージュの保養地サニーランズを訪れ、オバマ米大統領と非公式会談する。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「上着なしサミット」と呼ぶこの会談は、「ダークスーツにネクタイで、テーブルに並んだ当局者何十人が用意された原稿を読む」典型的な外交サミットではなく、両首脳が長時間直接、率直に話し合うことで、両者の基本的な関係を構築するものと報じられている。

【サミットの話題】
 会談の話題としては、北朝鮮問題、尖閣問題、中国人ハッカー問題などが予想されている。
 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、米当局は、習近平氏が「前任者ほど北朝鮮に忍耐も感傷的愛着も持ち合わせてはいない」と期待しているようだ。
 また同紙は、中国人とされるハッカーらの米国への侵入が活発であることに言及。これについて、中国政府は繰り返し関与を否定し、「中国もまた被害者」と主張してきた。しかし両国は、7月から定期的なハイレベル協議を持ち、対応ルールを検討することに合意したと報じている。

 なおフィナンシャル・タイムズ紙は、米海軍が中国の200カイリ排他的経済水域内を航行していること(一般的に国際法違反ではないとされる)に中国は不満を抱き、なんらかの「仕返し」を示唆している件を報じている。会談との関連は触れられていない。

【習近平は対等に腹を割れるのか】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、改革実績に乏しく公式の場でのぎこちなさが目立った胡錦濤前主席に対し、習近平主席は外交と戦略に自信を持っているという。
 実際、中国主席が米大統領相手に今回のようなアットホームな会談を持つのは、2002年、引退直前の江沢民元首席がジョージ・W・ブッシュ大統領に招かれた例しかない。
 習近平氏が就任早々その機会を得たことは、国内での評価を一層高めるのではと予測している。
 さらに、中国は米国と対等化することを目指し始めており、今回の会談も、主席就任後の初外遊として真っ先に訪米するのではなく、トリニダードトバゴ、コスタリカ、メキシコを回ったのに続いて、急遽組み込まれたと同紙は指摘する。

 一方同紙は、今回の会談での具体的な成果には期待していない。中国主席は、最高意思決定機関である政治局常務委員会で承認済みの原稿から、逸脱を許されないためである。従って習近平氏といえども、諸問題に対して勝手な譲歩を口にすることはできないと報じている。

Text by NewSphere 編集部