大暴落の日本株 海外紙は黒田総裁の発言を分析

 23日、東京株式相場は暴落した。終値は、前日比1143円28銭安の1万4483円98銭で、2000年4月以来の下げ幅だった。
 背景には、円相場が1ドル101円台に上昇したこと、中国景況感の悪化、国内金利の上昇懸念などがある。
 海外紙は、前日に行われた黒田日銀総裁の会見に注目し報じている。

【金融緩和策の功罪】
 22日、日銀は金融政策決定会合で景気判断を上方修正するとともに、量的緩和策の継続を決定した。
 黒田日銀総裁は就任以来、「異次元」とも評された「量的・質的金融緩和」を進めてきた。日銀の資産保有規模を、GDP比60%弱にも達しさせようとする緩和策((FRB、ECBは20%)や、進行する円安には、各国から批判も浴びてきた。
 実際には株高と円安が実現し、国内からは評価の声があがり、主要先進国の間でも主だった批判は出ていない。

 しかしここ数日、長期金利が急上昇。市場には、今後の日本経済への不安と、日銀の金融政策への疑念が再び沸き起こっているという。22日の会合後の黒田氏の記者会見では、会合の内容よりも、長期金利の急上昇に話題が集中した。

【黒田総裁の記者会見】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、黒田氏が長期金利の上昇について「実態経済には影響しない」との考えを示したと報じた。さらに、「景気の上昇やインフレ基調の強まりが、日銀の金利抑制策を上回り、金利の上昇に結びつくこともありうる」との見解を表明したことをとりあげ、黒田氏の楽観姿勢を読み取った。
 しかし、専門家のなかには、国債市場の日銀依存が強すぎることへの警戒心と、日銀の放任姿勢への失望の声が聞かれることも報じている。

 ニューヨーク・タイムズ紙も同様に、市場の期待感を高めることで資産価値を上昇させた、黒田総裁の手腕に一定の評価をつけつつも、国債金利の高騰傾向を抑える策を打つよう求めるエコノミストの声を紹介した。
 フィナンシャル・タイムズ紙は、黒田氏の金利上昇を容認するとも取れる発言のあと、1時間で、10年物国債の金利が0.9%を突破したことを報じている。
 これを受け、日銀が追加緩和策を決定する10月までは、刺激策の拡大を控えると見ているアナリストもいるという。

 古澤満宏財務官は、「これは、日本経済にとって極めて決定的な岐路だ」と述べたという。世界第3位の経済大国の行先を、世界中が注視している。

Text by NewSphere 編集部