フランス、同性婚合法化 次はイギリスの動向に注目
オランド仏大統領は18日、同性婚合法化法に署名した。欧州では7ヶ国目、全世界では14ヶ国目となる。
海外各紙は、フランスの法案成立過程と、同性婚を検討しているイギリスの、難航する国会情勢を報じている。
【強い反対を乗り越えて法案が成立】
カトリック教会の影響力は弱いと考えられていたフランスだが、法案には想像以上の反発が起きたと報じられている。BBCによると、1月には、反対デモが34万人を集め、これはこの10年間で最大規模のものとなったという。
法案に反対する団体はカトリック教会や保守派が支援しており、同性婚は“社会の基本となる家族の形成を損なう”などと主張していると報じられている。
国会でも審議は難航し、激論の後、上院と国民議会で先月4月に承認された。
さらに、サルコジ前大統領率いる右派・国民運動連合(UMP)は、憲法に反すると主張した。これに対し憲法会議は、今月17日、同性婚は「いかなる憲法の精神にも反しない」と判決を下した。ただ、養子をとる場合、子どもの利益が最も考慮されるべき事項だとも述べている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、フランスのなかでもリベラルな市として知られるモンペリエ市が、法案成立を受け、近々同性婚カップルの挙式を計画していると報じている。ただ、これには同性婚反対派の激しい抗議行動を引き起こすのではと危惧する声が上がっているとも伝えている。
【イギリスの「骨抜き」修正案】
フランスに続き、イギリスも同性婚の法的承認について審議中だ。
現在イギリス国会で審議されているのは、同性婚法の修正案である。これは、トーリー党員で同性婚に反対のティム・ロートン氏が作成したもので、事実上「骨抜き」法案だという。採決になれば、この修正案を党派に関わらずかなり多くの議員が支持するとみられている。
修正案は、シビル・パートナーシップ(結婚を正式にしていないカップルにも法律上結婚しているカップルと同等の権利と義務を付与する法)の適用範囲を拡大するものだ。もしこれが承認されれば、あくまで法的同性婚の承認を求めているキャメロン首相は、法案の成立を完全に諦めなければならないだろうと、同紙は報じている。