米内国歳入庁の不適切な税審査が発覚 今後の監査の動向は?
米内国歳入庁(IRS)が、保守系の団体に対し税審査を厳格化していた疑惑が浮上している。これを受け、エリック・ホルダー米司法長官は14日、米連邦捜査局(FBI)に捜査を開始するよう指示したと明らかにした。ホルダー司法長官は「もし違法行為がなかったとしても、明らかに非道で受け入れ難い」と述べた。
財務省税務管理監査官による14日の報告書によると、IRSが不適切な基準を許可した不始末は、2010年から18ヶ月間にも及ぶという。
IRSは不適切な方法が使われたことを認めたが、「この問題を隠す意図はなかった」という認識を示した。IRSのスティーブ・ミラー長官代行は、14日のUSAトゥデー紙の論説で、「過ちを犯したが、政治的や党派心に基づいた動機によるものでは決してなかった」という認識を述べた。
オバマ米大統領は、「断固として許し難い」と述べ、「IRS職員らは自らの行動の説明責任を負うべきだ」と述べた。
海外各紙は、報告書の注目すべき点や今後の動向について報じた。
【財務省報告書の注目点】
ニューヨーク・タイムズ紙は、報告書の中で、「2011年8月4日にIRSの主任顧問が財務省当局者と会った」という記述に注目した。もし調査で政権との新しいつながりが判明すれば、米政府の政治的均衡が変わるだろうと同紙は報じた。この件について米財務省は14日、コメントを控えた。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「誰が基準づくりに従事したかは特定できなかった」という脚注の記述を取り上げた。IRS職員がどのように保守派団体に過度に焦点を当てるようになったかという重要な問題に答えていないと指摘している。
同紙はまた、IRS専門官チームが審査した団体名の約3分の1に「ティー・パーティー」「愛国者」「9/12」という言葉が含まれており、報告書では、これらのケースがすべて専門家チームに回されたと結論づけられていると報じた。
【今後の動向は?】
17日から上院財政委員会などでこの問題について公聴会が行われる。
フィナンシャル・タイムズ紙は、今後行われる一連の調査は、政権による移民制度改革の見通しを悪化させるだろうと報じた。なお保守派の草の根運動「ティー・パーティー」は移民排斥主義で知られている。