円安止まらず、行き過ぎの心配は無いのか
円安が止まらない。9日ニューヨークでは、円は4年ぶりに1ドル100円を超えた。
トヨタ自動車は今週、昨年度の純利益が3倍になったと発表、今年42%の利益成長を予想する。マツダは3月31日までの昨年度、34億円の利益となった。前年度は1077億円の損失であった。
アナリストらは、これらが主に円安による恩恵だと分析する。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本はデフレとの戦いに「勝利を収めた」と断定した。
昨秋以来20%以上の円安傾向は、安倍政権と日銀の黒田新体制の積極緩和方針、そしてG20会談がそれを認めたことで、保たれてきた。
さらにこの日、米国の失業給付申請数が予想より少なかったと発表されたことでドルが上がり、1ドル100円を超えるに至ったと各紙は指摘する。
また英ポンドも、英国経済が予想より好調であることと、これ以上の金融緩和はしないとイングランド銀行が決定したことで上昇している。
オーストラリアおよびニュージーランドドルも、労働市場の改善を受けて強まった。
ただし韓国ウォンは、韓国銀行の利下げを受けて下落した。ブルームバーグは先月ヒョン・オソク韓国財務相の、「円安は北朝鮮からの脅威よりも重大な影響を韓国経済に与えている」との言葉を引用し、貿易摩擦を警告している。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、円安は日本の輸出を助ける一方、輸入燃料高などの弊害もあると指摘する。
また、円高においては投資家は円に避難し、円安になるとより高リスクの資産を求めて株式や債券に移動すると説明。実際に米国債や米国株をはじめ、各市場で「ドミノ効果」が引き起こされていると伝えた。
同紙はトレーダーたちの見方として、年内に1ドル120円まで進むとの予測や、それどころか120円には数ヶ月で達するとの予測までも伝える。一方ブルームバーグの調査によると、エコノミスト50人あまりの予想中央値は、年内に104円だという。