アリババが中国版ツイッターへ投資、eコマースでの優位を守れるか?

 中国の電子商取引大手アリババ・グループがインターネット大手シナ・コープ(新浪)から「Weibo(新浪微博、ウェイボー)」の株式18%を5億8600万ドル(約574億円)で取得した。
 「微博」は中国版ツイッターと言われており、シナ・コープのソーシャルメディア部門として急成長してきた。アリババはWeiboの事業価値を約32億ドル(約3132億円)と算定している。今後はオンライン決済やデータ交換などマーケティング分野で幅広く協力しあいながら双方のサービスを強化していく意向だ。また、アリババはその株式比率を30%まで引き上げる可能性もあるという。
 海外各紙は、今回の決断について、中国インターネットビジネスの状況を混じえて報じている。

【Weiboを利用し、スマートフォン利用者を取り込めるか】
 アリババによる微博買収の目的はいたって明白で、競合するテンセント(騰訊控股)に対抗するためだとフォーブス誌は報じている。この大手2社のうち、アリババは米eBayのような個人向けショッピングサイト「Taobao(淘宝、タオバオ)」と米Amazonのような企業向け「Tmall(天猫、ティモール)」で莫大な広告収入を得ており、業界では圧倒的な地位を築き上げている。
 しかし、最近では課金制ゲームやインスタントメッセージサービス「WeChat(微信、ウィチャット)」で急激に成長してきたテンセントが、アリババの領域であるeコマースへの進出計画を明らかにしており、脅威となってきたようだ。アリババはWeChatの競合であるWeiboと提携しそのサービスを強化することで、テンセントの勢いを抑えたい狙いだと分析されている。

 また、中国ではネットユーザーの大半がモバイル端末を通してインターネットにアクセスしているという。これを受け、アリババはモバイル事業の強化でスマートフォンなどからの購入客増加を狙っていくとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。アリババは年内にも株式公開予定であり、その成功に向けての戦略を展開しているようだ。

【急成長する、中国におけるインターネット市場】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、中国のインターネットユーザーは5億6400万人で、2011年の5億1300万人からますます増加してきている。
 また、昨年のeコマースの売上は1694億ドル(約16兆5673億円)で16年までには3561億ドル(約34兆8265億円)にまで上ると予測されている。米国における同期間の数字が2260億ドル(約22兆1028億円)と3270億ドル(約31兆9806億円)であることから、いずれは米国を追い抜く市場規模になることが予測されている。
 今回話題となっているWeiboは、5億ユーザーを突破(うち、アクティブユーザーは4600万人)しており、WeChatもサービス開始から2年間で3億近いユーザーを獲得している。もはや中国の人々にとって、ソーシャルメディアやメッセージングアプリは生活に欠かせないものとなっているとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部