キプロス議会、金融支援策をわずか2票差で可決 「ユーロ離脱」の選択肢は?
キプロス議会は4月30日、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による100億ユーロの支援策を賛成29、反対27の僅差で可決した。今月にも初回融資を受けることとなり、同国は国家破産を免れた。
キプロス政府報道官は「融資承認の決定を歓迎する」との声明を発表した。
緊縮策、金融部門再建に加え、最近ユーロ圏加盟国で初めて資本規制を実施したため、キプロスは今年深刻な景気後退に陥る見込みだ。
海外各紙は、依然として議会の反発があると指摘し、ユーロ圏離脱の動きに注目した。
【支援の前提条件】
4月初め、キプロス政府は「トロイカ」(EU・IMF・欧州中央銀行)との間で、金融支援策と引き換えに約130億ユーロ規模の政策を実施することで合意していた。この緊縮策には公務員給与や年金などの歳出削減のほか、企業や消費者に対する増税実施が含まれていた。その他に同政府は、国内第2のキプロス・ポピュラー(ライキ)銀行を閉鎖し、最大手キプロス銀行の大規模再編に着手している。
【高まる「ユーロ離脱」の動き】
こうした緊縮策に反対し、ユーロ離脱を求める動きもある。金融部門再建により預金保証対象外の大口預金者が多額の損失を被ることとなり、国民の不満は高まっている。
共産系・労働人民進歩党(AKEL)のキプリアヌー党首は、ユーロ圏に残るべきか否かについて国民投票を呼びかけてきた。同氏は「ユーロ離脱が同じく痛みを伴う選択肢であることは知っているが、自国通貨の復活は将来の成長に望みを与える可能性がある」と述べた。
キプロスの財界エリートらは徐々に「キプロス・ポンドに戻れば国はよくなる」という考えを持ってきたとガーディアン紙は報じた。
【景気後退は必至】
キプロスの2013年経済成長見通しはマイナス8.7%となっている。民間エコノミストの多くはさらに経済が悪化する可能性を指摘しているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
「今年の国民産出量は劇的に縮小し、恐らく15%に達するだろう」というエコノミストの見解をフィナンシャル・タイムズ紙は掲載した。