イタリア新首相にレッタ氏 大連立をまとめられるか?
イタリアのナポリターノ大統領は24日、エンリコ・レッタ民主党副書記長(46)を首相に指名した。レッタ氏は直ちに組閣のうえ、近日中に議会の承認を受けることになる。
レッタ氏はベルルスコーニ元首相の側近ジャンニ・レッタ氏の甥。フィナンシャル・タイムズ紙によると「イタリアで最も強力な部類の」中道政治家であり、「コメンテーターが議会制から大統領制への一時転換と称したほど」であるという。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は「イタリアで最もヨーロッパ志向の政治家」と伝えた。承認されれば、最年少クラスの欧州指導者となる。
イタリアは2月に総選挙を行ったが、中道左派の民主党、およびベルルスコーニ元首相の中道右派「自由の国民」、元コメディアンのベッペ・グリッロ氏率いる反既存政党の「五つ星運動」が伯仲する結果となった。連立交渉も失敗したため、どの党も議会の主導権を取れず、2ヶ月に渡って政治空白が続いていた。
さらに議会は大統領選出においても混乱し、最終的に87歳のジョルジョ・ナポリターノ大統領が再選。大統領の再選は、戦後のイタリアでは初めてとなる。そのため各紙は、新大統領を生めなかった議会を「コンセンサスや想像力の大きな欠如」などと批判している。
従って、レッタ氏は組閣にあたり、再び左右大連立を模索するしかないという。実際各紙は、左右両派の橋渡しになれることも、レッタ氏の指名理由であると分析した。レッタ氏を指名したナポリターノ大統領は、連立が成功しなければ辞任すると表明している。
レッタ氏は優先課題として貧困、若者の流出、イタリア政界の信頼喪失を挙げた。
またバローゾ欧州委員会委員長が、緊縮政策を緩和して雇用・成長を重視すべしと提唱しているのに同調し、「欧州の緊縮政策にはもはや効果がありません」と語った。
さらに、現在のような「政治のねじれ」を生じさせている選挙制度の改革も、次政権の重点になると各紙はみている。
しかし、政治不信と行き詰まる経済の中、減税や財政出動を求める民主党左派や「自由の国民」などの突き上げが予想され、大連立政権が成立しても寿命は長くないと予想されているという。