中国人民解放軍、インドとの係争地域になぜ侵入?
インド政府は23日、中国の人民解放軍が15日に実効支配線を越え、インド領ラダク地方に侵入し留まっていることを非難し、部隊の撤退を要求した。インドのマタイ外務次官は中国の魏駐印大使を召喚して抗議した。
これまでもこうした侵入行為はあったが、今回のように長期的に留まることは異例だと各紙は報じている。
インド外務省のサイード報道官は、「我々は平和的にこの事件を解決したいと望んでいる」とBBCに語っている。一方、アントニウス国防相は、中国に対して「必要な措置をすべて講じ、断固としてインドの利益を守る」と述べている。
しかしながら、中国外務省の華春瑩報道官は「中国の国境軍は、2国間協定を守っており、2国間で同意された実効支配線を固守している」と述べつつも「国境問題に関して調整している」と発言している。
【印中国境紛争はなぜ解決できないのか】
インド・タイムズによると、人民解放軍はこの3年にわたり、600回以上「侵入」していると報じている。
ファイナンシャル・タイムズが取材した中国の専門家は、「実効支配線の異なった理解があることにより、この種の問題が容易に起こるのである」と語っている。
BBCは、今回の事件は単発の問題ではなく、1967年以来続いている領土問題の一環だと報じた。不明瞭な境界線に加え、インドにあるチベット亡命政府やダライ・ラマの存在などが複雑に絡みあった問題だと指摘した。
【アジア諸国を牛耳りたい中国?】
インド政府は昨年11月、インドとの係争地域を中国の一部として図示した新しいパスポートを、「許されない」と評していた。ベトナムも「中国の新パスポートは無効である」と対抗措置を発表。
アジアの巨人であるインドと中国の国境紛争は1世紀以上続いており、いまだ根本的な解決にはいたっていないのが現状だ。