シリアで化学兵器使用 米国は軍事介入に踏み切るのか?

シリアで化学兵器使用 米国は軍事介入に踏み切るのか? イスラエル軍情報部幹部は23日、シリア政府軍がサリンと思われる化学兵器を使用したと明言した。
 同情報部のイタイ・ブルン調査分析局長はテルアビブで開かれた安全保障に関する会議で、「アサド大統領は国際社会の反応を試しており、今こそ米政府がシリア内戦に介入すべきときだ」と主張した。
 ブリュッセルでの北大西洋条約機構(NATO)外相会議に出席しているケリー米国務長官は、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談後、「事実がどうかまだわからない」と述べた。ケリー氏によると、ネタニヤフ氏はイスラエル軍情報部幹部の話を「確認する立場にない」と語ったという。
 海外各紙は、イスラエルからの「最も決定的な発言」だと報じ、米政府の対応に注目した。

【米国の軍事介入は?】
 オバマ米大統領は、2年間にわたるシリア内戦への深入りを避けてきた。一方で、アサド政権が化学兵器を使えば「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えたことになると明言していた。
 しかし「イラクでの戦争を終え、アフガニスタンから米軍を撤退し始めた時期に、オバマ氏は別の紛争に巻き込まれたくない」という米当局者のコメントをウォール・ストリート・ジャーナル紙は掲載した。
 米国防総省高官は「外国政府による信頼度の低い評価」だと一蹴し、「米国の行動の基盤となる決定に到達するまでには時間がかかるだろう」と述べた。

【欧州の反応】
 英国とフランスは19日、シリア軍が少なくとも2回化学兵器を使用したことを示す証拠があることを国連に報告していた。「アサド政権によって化学兵器が使用されたという証拠は本当の疑惑ではない。疑惑は、米国がそれについて実際どうするつもりなのかということだ」という欧州当局者のコメントをフィナンシャル・タイムズ紙は掲載した。
 欧州外交筋によると、イスラエルからの情報を軽視することは米政府にとって特に難しいという。西側当局者らはイスラエルがシリア内部に最高の情報網を持っていると考えており、シリアの化学兵器について米国はイスラエルに大きく依存しているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。

 ただ、イスラエル、英国、フランスによるどの主張も物理的な証拠がないとニューヨーク・タイムズ紙は指摘した。シリア政府は調査範囲をめぐる論争により国連調査団の入国を拒否しているため、証拠収集は「容易でない」と同紙は報じた。

Text by NewSphere 編集部