オバマ大統領宛の「猛毒」封書 犯人逮捕の決め手とは

 米連邦捜査局(FBI)は17日、オバマ大統領やウィッカー上院議員(共和党、ミシシッピ州)らに猛毒のリシンを混入した郵便物を送った疑いで、ミシシッピ州在住の45歳男性を逮捕した。

【容疑者について】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、逮捕されたポール・ケビン・カーティス容疑者について報じている。
 大統領とウィッカー氏に送られた郵便物に「私はKC(同容疑者のイニシャルの一部と一致)」とあったこと、消印の押された地域などが逮捕の決め手になったと報じられている。
 「悪事を目にしても暴露しなければ、暗黙の共犯者となる」などと書かれていたメッセージはあるが、犯行の動機は不明だという。
なお、彼は他にも、同州の司法当局者に同様の郵便物を送った疑いがかけられている(リシンかどうかは確認検査中)。

【テロとの関係】
 フィナンシャル・タイムズ紙はテロとの関連性に注目。米政府は15日のボストン・マラソン爆弾事件を受けて警戒を強めているが、同事件との関連性を示す証拠はないと報じた。しかし今回の騒ぎは、2001年9月11日の米同時テロ事件後、炭疽(たんそ)菌入りの封書が送られた事件を想起させ、ワシントンをはじめとするアメリカ全土に緊張が走ったと報じた。

【リシンとは】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙はリシンについて説明する。リシンは自然界に存在する毒物で、トウゴマ(ヒマ)の種子から抽出される。米国疾病管理予防センター(CDC)は、リシンを製造し、それを人に使うには周到な準備が必要だと指摘し、犯人の計画的犯行が伺えることを報じた。
 またCDCは、「吸い込んだり、摂取したり、注射したりすれば、リシンは体内の細胞に浸透し、体に深刻なダメージを及ぼす」と説明。その猛毒性と、解毒剤がない点から、非常に危険だと報じられている。

Text by NewSphere 編集部