中国・アイスランドがFTA締結 北極圏はどう変化するのか?

 中国とアイスランドは15日、自由貿易協定(FTA)を締結した。中国が欧州の国とFTAを結んだのは初めてである。両国は2007年に締結交渉を開始し、6年にわたり協議していた。

【両国首脳のコメント】
 ニューヨーク・タイムズ紙は両国首脳のコメントを紹介。中国の李首相は、「ヨーロッパとの初FTA締結は、中欧経済関係に重要な役割を果たすだろう。」と発言。地熱探査やグリーンエネルギーなどの分野での協力強化、氷河や火山、地震などの共同研究と技術協力、海洋と極地共同研究センターの構築に力を入れていきたいと意気込んでいる。
 一方、アイスランドのシグルザルドッティル首相は、「中国との経済貿易を大事にしたい。貿易、投資、地熱、地学、北極、環境保護などの分野における交流と協力をさらに深めたい。」と述べた。
 両国の良好な関係が伺えると報じられている。

【両国の発展】
 アイスランド政府の声明によると、水産物などアイスランドの中国向け輸出は昨年から40%増加し、約6100万ドルとなっており、同国のGDP上昇も見込めるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は伝えている。FTAにより、さらにアイスランドは恩恵を受けるとみられる。
 また、原油、ガス、金、ダイヤモンド、亜鉛、鉄といった資源を多く埋蔵する北極圏には、世界から注目が集まっており、中国にとっては、北極圏進出の象徴としての意味合いもあると報じられている。
 実際、中国国営企業の中国石油化工集団公司(シノペック)は、昨年からアイスランドの地熱資源開発のプロジェクトに参加しており、北極圏開発における存在感が大きくなっていると報じられている。

【中国の北極圏への進出】
 中国は、今回のFTA締結を機に、北極圏開発に発言権を持とうとしており、北極海進出に意欲を示しているとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
 実際中国は、北極圏開発を話し合う北極評議会へのオブザーバー参加を申請。アイスランド首相はこれを支持する姿勢をみせている。しかし、中国が発言権を強めることを懸念する声も多く、欧州連合(EU)は今回の締結に難色を示していると報じられている。

Text by NewSphere 編集部