カタール、エジプトに多額の支援 その狙いとは?

カタール、エジプトに多額の支援 その狙いとは? 政治・経済ともに不安定なエジプトに救いの手を差し伸べるべく、カタールが30億ドル(約2989億円)の支援を決めた。
 経済危機が深刻化する一方のエジプトは、国際通貨基金(IMF)や裕福なアラブ諸国に対して、支援を求めていた。IMFは、支援の条件として、食品やエネルギーに対する助成金の削減や増税を要求。これに対する国内の反発や、不安定な情勢によって、2年間に及ぶ交渉は未だに合意に至っていない。さらに、エジプトはこれまでのIMF支援に対する返済に行き詰っていたこともあり、カタールの支援は願ってもない話といえる。
 海外各紙は「予想外」とも言われるカタールの今回の決断について、その内容と目論見について報じている。

【多岐にわたる投資、エネルギー支援も】
 カタールは、エジプトでモルシ大統領が政権を獲得した2011年以降、既に50億ドル(約4980億円)の支援を行なってきた。3月末時点では、追加支援の予定はないとしてきたため、今回の発表は大きな驚きをもってむかえられていると、フィナンシャル・タイムズ紙は報じている。

 他にも、対エジプト投資の拡大や、エネルギー支援、カタール内におけるエジプト企業に対する規制緩和など、盛りだくさんの内容となっているようだ。
 エジプトのデイリーニュース紙によると、カタールは同国で農業や産業、エネルギー、観光、水資源の分野で8つの大きな投資計画を予定しているようだ。関係者によると、紅海沿いのアインスクナや地中海沿岸のポートサイドを含む地域で、30万エーカー以上の土地を利用して、製油所の新設やインフラのアップグレード、農業や観光の活性化に向けた開発を行う方向で話し合いをしているという。
 また、懸念されているエネルギー不足を補うために、10億立方メートルの天然ガスを輸出する方針で、今後は価格について協議する見込みだという。

 総じて、通貨の下落や外貨準備高の減少が続くエジプトは、なんとかカタール支援を活用し、状況を改善していきたいだろうと報じられている。

【見返りを求めないとの建前だが・・・】
 カタールの支援は、非常に「気前の良い」内容となっている。しかし、エコノミストの中には、短期的な経済復興への力になるかもしれないが、長期的にエジプト経済を救えるほどではないと否定的な見解を示すものもいるとブルームバーグは報じている。
 また、カタールはエジプトからの見返りは求めていないとしているものの、イスラム主義のモルシ大統領をサポートし、エジプトでの影響力強化を狙っているのでは、と訝しむ国民も少なくないと各紙は指摘している。

Text by NewSphere 編集部