中国、元鉄道相が収賄などで起訴 「汚職追放」なるか?

中国、元鉄道相が収賄などで起訴 「汚職追放」なるか? 10日、中国の元鉄道相であった劉志軍氏が、収賄と職権乱用の罪で起訴された。国営新華社通信が報じた。
 鉄道省は汚職の温床として国内から非難されており、劉氏が2011年2月に鉄道相を解任された原因も汚職とされる。2011年7月には温州市で高速鉄道事故が発生。ずさんな安全管理が一因とされ、鉄道省の役人が多数罰を受け、同省はシステム管理の改善を求められていた。劉氏は在任期間中、高速鉄道建設計画の陣頭指揮をとっていた。
 海外各紙は、国家機関元トップの汚職摘発の意味について論じている。

【みせしめの裁判か】
 劉志軍氏は、政府の汚職が蔓延する現在の中国を象徴する人物だと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は紹介している。ニューヨーク・タイムズ紙によると、劉氏は2003~2011年の在任期間で、1億5200万ドル(約152億円)の収賄を得たという。
 4月に国家主席となった習近平氏は、腐敗撲滅に取り組まなければ、社会不安が起き、党の崩壊につながると危機感をあらわにしていた。それ以前にも、汚職追放は、党の直面する「厳しい挑戦」のひとつと述べていたと、ブルームスバーグ・ビジネスウィーク紙は報じている
 総じて、劉氏の起訴は、「汚職と戦う強い決意」を示すためと分析されている。

【汚職の温床も解体】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国鉄道省が、列車の運行から監察まで、鉄道に関する広範な権限を握っていたとい指摘。同省は、汚職、2兆6600億円の負債、死者多数の鉄道事故など多くの問題を抱えていたとも報じている。
 一方、劉氏の指揮した高速鉄道システムは海外から高い評価を得ていると、同紙は報じている。

 鉄道省は、3月の全国人民代表大会で解体が決まった。監察部門は交通省に、運行営業部門は新会社に吸収される予定だという。

 なお、こうした中、航空、通信、エネルギーなどの国営企業についても、分割を求める動きが再燃していると、ブルームスバーグ・ビジネスウィーク紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部