オバマ大統領、銃規制強化を訴える 共和党への対抗策は?
オバマ米大統領は8日、コネティカット州で演説し、銃規制を強化する法案の早期成立を訴えた。コネティカット州の小学校では昨年12月、銃乱射事件で児童ら26人が犠牲となっていた。
オバマ氏の発言の背景には、事件以来、連邦議会では与野党協議が難航していることや、複数の州で銃の所持権を拡大・緩和する法案が多く可決されていることなどがある。
【各州の動き】
各州の銃規制に関する法案を、フィナンシャル・タイムズ紙は紹介している。
銃規制法案を監視・促進する「銃による暴力防止法律センター」によれば、今年に入って5つの州が銃規制を強化する7つの法案を可決した一方、10州は銃規制を弱める17の法案を可決しているという。
銃乱射事件が起こったコネティカット州やコロラド州などでは、銃規制強化法が相次いで成立しているが、その他多くの州では、銃規制強化策は、共和党の反対を受けている状況だと報じられている。
この変化について、米国ライフル協会(NRA)のスポークスマンは、「大部分の州で、銃規制の強化が、悲劇を防ぐ助けにならないと実感されているからではないか」とコメントしている。
【オバマ大統領の演説と戦略】
オバマ大統領は8日の演説で、「恐るべき銃の暴力が発生している今、私たちは変わらなければならない」と、銃規制強化法案の早期成立を訴えた。
また、銃規制法案の審議に対し、フィリバスター(議事妨害)を行うとしている共和党議員を非難した。
銃規制強化は、オバマ大統領が政権2期目のスタートに掲げた象徴的な公約であるものの、不利な立場に立たされているといえる。
オバマ政権は、事件の遺族の力を借りて、共和党に対抗しようとしているとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
スピーチ後、12人の遺族はワシントンへ行き、9日からの議会で、銃規制反対の議員たちに直接訴えかける役割を託されているという。
オバマ政権は形勢逆転への切り札として期待しているようだが、同紙は、依然として政権側が厳しい状態に立たされているとみている。