福島原発でまた汚染水漏えい 海外紙が報じる問題点は?
東京電力は7日、地下貯水槽から汚染水漏れが見つかったばかりの福島第一原子力発電所で、別の貯水槽からも汚染水が漏えいしたと発表した。
東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は7日の記者会見で謝罪。原子力規制委員会は8日、東電に対し汚染水漏えい対策の徹底などを指導した。
海外各紙は、東日本大地震から2年経過してもなお、東電は困難な課題に直面していると注目した。
【相次ぐトラブル】
福島第一原発では先月、仮設配電盤にネズミが接触したことによる停電で、使用済み核燃料プールの冷却が1日以上停止した。2011年12月に政府が冷温停止宣言を出して以来、最大のシステム障害となった。 5日には、ネズミ対策中に漏電し、プールの冷却が約3時間にわたり停止していた。
その直後に判明した汚染水漏えいについて、東電は6日、その規模は約120トンにのぼると推定した。仮設ポンプで他の貯水槽へ移送する作業を進めているが、作業完了まで約3日かかるとも説明。その間、新たに約47トンの汚染水漏れを試算していた。なお、海岸からは約800メートル離れているため、流出の可能性は低いとの見解も述べていた。
【解決策は?】
東電は、原子炉や使用済み燃料を冷やすための大量の水を安全に貯蔵する難しさに直面していると、フィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
また、東電はタンクや貯水槽で汚染水を貯蔵しているが、まだ水を除染するための長期的な解決策を欠いていると、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘した。
ニューヨーク・タイムズ紙は、「チェルノブイリ以来最悪の原発事故となった2年前の地震と津波が正規の冷却装置を破壊。急場しのぎの冷却装置による大量の汚染水をどう対処するかという困難な課題が強調された」と報じた。そして、福島原発廃止まで何十年もかかるだろうと指摘した上で、「汚染水は恐らく3年以内に倍になる」「水を除染するため貯蔵スペースを増やし、新しい処理施設を建設中」という東電側のコメントを掲載した。