なぜアメリカの北朝鮮圧力は、イランより弱いのか?
北朝鮮は、昨年12月の長距離ロケット打ち上げや2月の核実験を受けての国連制裁に直面している。最近では米韓合同軍事演習の圧力も加えられ、米軍はステルス戦闘機や大型爆撃機を展開して威圧していた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、それでも米国は、すでに核兵器を保有しイランより高度な弾頭輸送手段を進歩させつつある北朝鮮に対して、イランほどの注意を払っていないと報じている。核開発疑惑のあるイランには、公然と武力行使をちらつかせるなど、強い圧力を掛けていることを指摘した上での指摘だ。同紙は、米国が中国の出方を警戒していることや、米議会はイスラエルと関心を共有する傾向にあることなどを理由に挙げた。ブッシュ政権のアッシャー元顧問は同紙に、「我々がイランに掛けている圧力の3分の1でも北朝鮮に掛ければ、巨大な戦略的影響があるでしょう」と語った。
またフィナンシャル・タイムズ紙は30日、韓国と「交戦状態」に入ったとの北朝鮮の声明について、各方面からの懸念を伝えた。北朝鮮は国連制裁や米韓演習を非難し、「米国と韓国の傀儡集団が戦争に点火する軍事的挑発を犯すなら、全面戦争、核戦争に発展する」などと発表していた。だが同紙によると、アナリストたちのコンセンサスとしては概ね、「北朝鮮が戦争を開始する可能性は低いだろう」とのことである。北朝鮮は軍事技術で米国に劣っていることを自覚しており、定番の反米プロパガンダはむしろ、政権を固めるための国内向けアピールであるという。