ケリー国務長官、アフガン電撃訪問の理由と成果は?

ケリー国務長官、アフガン電撃訪問の理由と成果は? 26日、ケリー米国務長官はアフガニスタンのカルザイ大統領を抜き打ち訪問した。
 カルザイ大統領は、タリバンの爆弾攻撃を非難した9日の演説で「彼らは米国の走狗であり、2014(国際平和維持部隊の大部分の駐留期限)というフレーズの走狗であることを示した」と発言しており、メディアは<米国とタリバンが共謀してアフガニスタンを弱体化させようとしている>との対米非難であるとして、騒然となっていた。
 しかしこの日の会談後、ケリー氏とカルザイ大統領は互いに友好的な様子で記者会見に臨んでいた。大統領は米国の犠牲に感謝を示し、件の発言はメディアの誤解であって、<タリバンが本当にアフガニスタンから外国軍を追い出したいならまず人殺しをやめるべきだ>と言いたかったのだと釈明した。

 見方によってはカルザイ大統領が一転して態度を軟化させたとも取れる現象を受け、各紙は、両国間の最近の外交成果を報道した。
ひとつは米軍管理下の捕虜がアフガニスタンの刑務所管理下に引き渡されることである。各国軍からはイスラム過激派タリバンなどの危険人物が再び野放しになるとの懸念が強かったが、今後は米国も拒否権を保ったまま、アフガニスタン主導の委員会で捕虜の危険性が判断されるとして、両国当局者は概ね問題にはならないと主張している。
 また、米国の特殊作戦部隊がカブール郊外ワルダック県で虐待行為に関与したという疑惑から、アフガニスタン側は部隊の同県からの撤退を要求していたが、米国側はこれを了承している。ただし米側は虐待行為への関与は否定している。フィナンシャル・タイムズ紙も、部隊自体ではなく「部隊と協業していたアフガニスタン人が」関与していると報じている。

 各紙はまた、今回ケリー氏が、アフガニスタン問題にとって重要とされるパキスタンの訪問も当初計画していたと報じた。もし成功すれば歴史的な民主化ステップとされるパキスタンの選挙に配慮して、訪問は取りやめられたが、ケリー氏は代わりにパキスタン軍のカヤーニ大将とヨルダン国内で会食した。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、パキスタン領内でのビンラディン殺害強行事件などもあって米国とパキスタンの関係は微妙であるが、ケリー氏個人はパキスタン国内で評判が良く、過去に米軍の墜落ステルスヘリ部品や逮捕されたCIA協力者の返還を成功させていることを紹介した。同紙はケリー氏が今回イラクやイスラエルを訪問していることも伝えており、広範な中東情勢に関して、ケリー氏の手腕に期待する論調を示している。

Text by NewSphere 編集部