シリア反体制派、アラブ連盟に参加 背景にある各国の思惑とは?
アラブ連盟の首脳会合が26日、カタールの首都ドーハで開かれ、シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合」にシリア代表資格を与えた。アラブ連盟は2011年11月、大衆暴動を流血で弾圧した制裁として、アサド政権の同連盟会合への参加資格を停止していた。
会合にはシリア国民連合の議長辞任を発表したばかりのハティーブ氏と、今月初めに暫定首相に任命されたヒット氏らが出席した。ハティーブ氏は「シリア国民が正当性を回復する第一歩だ」として、国連や他の国際組織でも同連合をシリア代表と認めるよう求めた。
これに対し、アサド政権系のティシュリン紙は「アラブの兄弟よ、恥ずべき行為だ」と非難した。
海外各紙は、2年以上にわたるシリア紛争において「画期的な出来事」だと注目した。
【ホスト国・カタールの思惑】
シリア代表の差し替えは、豊富な資金力でシリア反体制派を支援するカタールが主導的役割を果たしたとみられる。一方イラクのゼバリ外相は25日、スカイニュース・アラビアで「もし(反体制派に)シリア代表資格を与えれば、すべての政治的解決への道を閉ざすことになる」と反対の意を示していた。
「たとえ意見が違っていても、カタールはハティーブ氏を仲間内に維持しようとすることで実際的だった」「カタールは地域大国の戦略を強化したいが、戦術的には柔軟だと何度も示してきた」という国際戦略研究所の中東アナリストのコメントをウォール・ストリート・ジャーナル紙は掲載した。
【ハティーブ氏の意向とは】
ハティーブ氏は24日、国際社会の支援不足などを理由にシリア国民連合の議長辞任を表明していた。カタールと反体制派の統一組織側は再考するよう促している中、首脳会合への出席が辞任の再考を意味するかは不明だとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。同紙は予期せぬ動きとして、彼が首脳会合の演説でアラブ諸国に対し抑留者を解放するよう注意を促したと報じた。
またハティーブ氏は演説で、最近トルコのシリア国境に配備されたパトリオット地対空ミサイルで、反体制派が支配するシリア北部を防衛するよう米政府に要請したことも明らかにした。しかしこれに対し、北大西洋条約機構(NATO)はこの要請に応じる兆候はないとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
なおハティーブ氏は、今回同席したヒット氏の暫定首相任命について、カタールが庇護するムスリム同胞団のシリア支部の手先だとして反対していた。しかし同氏は、少なくとも首脳会合の間、団結を示すためカタールの圧力に屈しているようにみえたとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。