パキスタン政権、初の5年任期満了 次の暫定首相はだれに?

 パキスタンの与党パキスタン人民党(PPP)主導の連立政権が16日、5年の任期を満了した。軍事政権が断続的に続いてきた同国で、文民政権が任期を満了したのは初めて。
 アシュラフ首相は16日夜のテレビ演説で、「(任期満了は)まれな、歴史的な出来事」と評価し、「我々は過去5年間で豊かな生活をもたらすことはできなかったが、この国の基盤を強化するため全力を尽くした」と語った。
 次の総選挙は5月に予定されており、数日中に暫定政府が発足する。暫定首相は政府・野党間で交渉中であり、合意に失敗すれば選挙委員会が選定することになる。
 海外各紙は、本件を歴史的な節目と報じつつ、同国に山積する内政課題を指摘した。

【パキスタンの抱える問題】
 ザルダリ大統領率いるパキスタン人民党政権に対しては、イスラム武装勢力による相次ぐテロ、電力不足、経済の低迷などをめぐって国民から非難が絶えず、かろうじて任期を乗り切った形だと報じられている。先週には、イランからの天然ガスパイプラインの起工式が行われたが、これをアメリカは非難しており、完成すればパキスタンへの経済制裁も考えられるという。フィナンシャル・タイムズ紙は、「政府が5年続いたのは成功だが、引き継いだものより多くの問題をパキスタンに残した」という専門家のコメントを掲載している。

【次の暫定首相は?】
 先週から同国の政界では暫定首相についての憶測が飛び交っているという。民主主義の持続に貢献したとされる、軍トップのアシュファク・キアニ陸軍参謀長は、選挙を全力で支援すると強調し、陸軍がどこかの党を支持することはないと示唆した。フィナンシャル・タイムズ紙は有力候補として、元中央銀行総裁で世界銀行の職員であるイシュラート・フセイン、元裁判官のナシル・アスラム・ザヒードの名前を挙げた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、選挙でパキスタン人民党が優勢であれば、ザルダリ大統領は9月の再選挙で有利となるとの見方を示した(パキスタンの大統領は国や地方議会の間接選挙で選出される)。しかし最近の世論調査によると、最大野党のパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派が選挙の最有力だという結果が出たという。ただ、圧倒的過半数を得ることはなさそうなため、民族・地域・宗教政党が決定票を握っているとの見方を同紙は示した。その他、今月亡命先から戻って選挙に出ると宣言したムシャラフ前大統領や、1月の反政府デモを主導したカリスマ説教師、カドリ氏の動向も選挙に影響するだろうと同紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部