アメリカ、サイバー攻撃対策強化 その影響とは?
オバマ米大統領は13日、企業幹部らと会合を開き、米国を標的とするサイバー攻撃の問題で中国と「厳しい協議」をすると約束した。会合にはAT&T、ハネウェル、JPモルガン・チェースなどの幹部らが出席した。
さらにオバマ大統領は、13日放送のABCニュースのインタビューで、中国からのサイバー攻撃について、「一部は国家が支援している」と言及した。中国や他の諸国に対して、「国際基準に従い、国際的なルールを守ることを期待している」と述べた。
12日の上院情報特別委員会では、クラッパー国家情報長官が、米国にとってサイバー攻撃がテロにかわる安全保障上最大の脅威となっていると警告していた。
また同日には下院軍事委員会も開かれ、米軍サイバー部隊トップのアレクサンダー陸軍大将が、米国ネットワークが攻撃された際に外国に「攻撃的な」サイバー攻撃を実行する、専門家から成る13のチームを設立すると明らかにしていた。
海外各紙は、サイバー攻撃に関連する連日の米政府高官の発言に注目し、今後懸念される問題について報じた。
【企業幹部らとの会合の内容は?】
オバマ大統領と企業幹部らの異例の会合は、ホワイトハウス内の危機管理室で非公開で行われた。国家安全保障上の危機のために使われる厳重に管理されたこの施設で、情報漏えいについての機密情報を共有したとみられる。ロサンゼルス・タイムズ紙は、「政府は定期的にシステムを精査するため、民間産業から支援を得ようとしている」「グループは脅威を認識したが、新しい規制には慎重に見えた」という参加した幹部らのコメントを掲載した。
【米側の今後の対策に伴う懸念】
「攻撃的なサイバー攻撃」というアレクサンダー大将の発言により、オバマ政権がサイバー兵器の開発を初めて公式に認めたとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。アレクサンダー大将によると、民間のインターネット・サービス・プロバイダーを通して米国へのアクセスを監視し、危険な攻撃をミリ秒単位で政府が把握するという。しかし同紙は、必ずそこでプライバシーの問題が生じると指摘した。
フィナンシャル・タイムズ紙もまた、政府が今後CIA(中央情報局)などに米銀行の不審なアクセスの全てのデータにアクセスする権限を与える可能性を挙げ、プライバシーの問題を指摘した。銀行は5000ドル以上の全ての不審な取引を、財務省のFinCEN(金融犯罪執行ネットワーク)に報告する義務がある。米国の法律では、スパイ防止活動や分析を行う上で、国際テロから守るためにこのデータを共有することが許されている。同紙は、諜報機関のアクセスが増えれば、他のデータと組み合わせてアメリカ国民の個人情報が露呈するのではという懸念が高まると指摘した。