アフガン大統領がアメリカ批判 その思惑とは?
アフガニスタンのカルザイ大統領は10日の演説で、米国と反政府武装勢力タリバンが、カタールで連日対話をしていると批判した。両者の和平交渉へ向けた協議は昨年、タリバン側が米国側の一貫性のない声明を非難し中断していた。タリバンと米当局は、カタールでの協議再開を否定した。
同国を訪問中のヘーゲル米国防長官は同日、カルザイ大統領とともに記者会見を予定していたが、この発言後に中止となった。米側は、9日にカタールの国防省周辺などで自爆テロが起こったためと説明した。
国際治安支援部隊(ISAF)のダンフォード司令官は、カルザイ発言を全面否定した。その上で、「米・アフガン関係は崩壊しておらず、困難な問題を解決し緊張を和らげられる関係にある」と語った。一方、ヘーゲル米長官はカルザイ大統領との会談後、「和平や政治解決を主導するのはアフガン側でなければならない。米国はそれに協力する立場だ」と述べた。
海外各紙は、今回のカルザイ大統領の怒りの発言の背景について考察した。
今回カルザイ大統領が怒りを爆発させた直接のきっかけは、米軍が管理しているバググラム飛行場にある主要拘置所のアフガン政府への権限移譲を、米側が 9日に突然中止したためだと海外各紙はみている。
アフガニスタンのスポークスマンは、カルザイ大統領は米軍によるアフガニスタン市民の犠牲や不法な拘束に不平を言うためにこの機会を利用したと述べた。
カルザイ大統領と米国は、2014年末の治安権限委譲後、米駐留軍をどの程度アフガンに残留させるかについて交渉中だ。米国は現在の駐留米軍6万6000人を約半分に縮小する予定だが、2014年以降も北大西洋条約機構(NATO)からの顧問と対テロ部隊を残したい意向だという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ヘーゲル米長官の控え目なコメントは、米国側は米軍撤退にはカルザイ大統領の協力が必要だと認識していることを示唆していると報じた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、「(カルザイ大統領は)タリバンが2014年後のアフガニスタンで重要な役割を果たすと認識している。夜襲、空爆を禁止し、米国とNATOを批判することで、タリバンなどの反乱グループを味方にしようとしている」という専門家のコメントを掲載した。アルジャジーラは、カブール政府は2014年末の撤退前にタリバンを交渉の場に来るようせき立てているという見解を示した。