イランは核協議を進めるつもりがあるか?
27日、カザフスタン・アルマトイでの6ヶ国(米・英・独・仏・露・中・独)・イランによる核協議は、最終日である2日目となった。6ヶ国側は従来の要求を縮小したほか、次回会談が決定した。3月18日と19日にトルコ・イスタンブールで技術会談、4月5日と6日に再びアルマトイで政治会談が行われる。しかしそれ以外に具体的進展はなく、イラン側は「ポジティブ」「過去の提案よりは現実的」と一定の歓迎を示したが、西側関係者は浮かない様子である。
6ヶ国側が目指すものは、イランの核開発が平和目的限定のものだという保証であり、(1)高濃縮ウランの濃度を20%までとすること(2)ウラン備蓄を国外に放出すること(3)テヘラン南方フォルドーの第2ウラン濃縮工場を閉鎖すること、であった。
この日の会談で6ヶ国側は協議前進を重視し、(2)については医療目的のものを除くと条件を緩和した。また(3)についても、施設の閉鎖ではなく、濃縮作業の停止のみを求めるとした。
ただし6ヶ国は、イランが約束を履行しているかどうかの確認のため、査察受け容れ姿勢の強化は必要だとしている。
これらの条件を受け入れれば、昨年からの経済制裁を緩和すると各国は提案している。さらに、EUや国連安保理において、新たな制裁決議をしないとも提案した。
制裁はイランのGDPを8%圧迫し、通貨価値を半減させたとみられている。フィナンシャル・タイムズ紙は、イランの来年度予算案において、石油収入40%減と予測されていること、一方予算規模は22%も増額されていること、予算案が前提とする為替レートに無理があることを指摘し、イランの苦しい事情を読み取った。
西側諸国はこの制裁がイランへの対話圧力となっていると見ている。しかしニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙は、これまでイランは繰返し、一旦提案に同意する風を装っては、さらなる譲歩を求めて結局破談に終わるなど、「明らかな時間稼ぎ」を行なってきたと指摘。そのためこの10年来核協議が進展しなかったと悲観的だ。フィナンシャル・タイムズ紙は、今年こそ具体的成果がないと、いよいよ軍事的衝突につながるとの専門家の危惧を伝えている。