中国のサイバー攻撃にアメリカはどう対応するのか?

 18日、米サイバーセキュリティ会社マンディアントは、多数の米企業・団体などへのコンピュータ侵入常習犯の正体が、中国人民解放軍総参謀部「61398部隊」だと断定した。中国側は否定している。米国では機密漏洩による経済・軍事活動上の不利益のみならず、電力網などのインフラシステム乗っ取りさえも危惧され、中国政府に対してより強硬な対応を求める声が高まっている。

 20日、オバマ政権の戦略レポートは「サイバースパイ活動に関与する国へ圧力をかける新たな方法を見つけるため、同盟国と緊密に協力する」とした。またホワイトハウスはこれについて、現行法の見直しが必要かどうかを検討するという。「新たな方法」についてウォール・ストリート・ジャーナル紙は、具体的には盗まれた企業秘密に由来する製品やサービスの貿易制限や、外交圧力強化を意味すると見ている。1990年代には大量破壊兵器や軍用装備の拡散問題に関して同様の戦略を採り、一定の成果を挙げたという。

 中国発のサイバー攻撃が激増している背景のもと、オバマ大統領は先週すでに、企業は自主的にサイバーセキュリティ基準を設定すべしとする大統領令に署名してもいた。米政府は中国の名指しを避けてはいるが、2011年の諜報レポートが、中国人ハッカーについて「経済スパイの中で最も大胆かつ持続的な加害者」であると公然と非難しているような例もすでにある。下院諜報委員会のロジャース委員長は20日、ビザ拒否措置を示唆した。

 尖閣問題などでも米中緊張が高まっている中、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の別の記事は、中国国家主席が習近平氏に代替わりする3月や、9月のG20サミットが、米中トップ間の腹を割った対話の好機だとの期待を伝える。一方でブラウン元国防長官などは、中国の秘密主義のため対話は成り立たないと悲観的だ。

 また各紙は、オバマ政権がサイバー犯罪防止の国際的法整備のため、TPP交渉の機会を利用すると見ている。こうした側面から日本へのTPP参加圧力が高まる可能性もあるだろう。

Text by NewSphere 編集部