オランド仏大統領、ギリシャを訪問 そのねらいは?
オランド仏大統領は19日、ギリシャを訪問し、サマラス首相と会談した。会談後、オランド大統領は「ギリシャの経済と雇用の回復をしなければいけない」と述べた。訪問目的について「仏企業にギリシャ投資をさせるため」と述べ、ギリシャの経済成長における海外投資の重要性を強調した。緊縮政策を重視するドイツなどとは一線を画す姿勢を明確にした形だ。
海外各紙は、ギリシャがオランド大統領の訪問を歓迎していることや、協力姿勢を示すことによるフランスのメリットなどを報じた。
財政破綻間近に陥っていたギリシャは、緊急融資を受ける条件として、ドイツなどが主導する緊縮財政に取り組んでいた。公務員給与の大幅削減や増税を実施してきたが、6年連続のマイナス成長や、27%という高失業率に悩まされている(若年者層では60%を超える)。20日には反緊縮のストライキが始まるなど、国民の不満が高まっている。
こうした状況下、EU内でドイツと並ぶ大国フランスからの支援は、ギリシャにとって大きな意味を持つ。ギリシャのサマラス首相は「新たな友好の幕開け」を感じると述べ、フランスに感謝と期待を示した。
オランド大統領は、フランス企業のギリシャへの投資、ギリシャへの旅行客の増加(観光業はギリシャGDPの20%以上を占める)、民営化促進などを掲げた。
ギリシャ支援に熱心なフランスのメリットについて、ニューヨーク・タイムズ紙は、「エーゲ海に眠る天然資源の開発」が最も大きいと分析している。オランド大統領はこれを大きなビジネスチャンスとしてとらえ、ギリシャと共同開発をしたうえで、ギリシャを天然資源のハブとして機能させることをねらっているようだ。一方トルコもこの天然資源に注目しており、来月にはギリシャ・トルコ間での会談が予定されている。