フランス、赤字削減目標を修正 その影響とは
フランスのモスコビシ財務相は18日、22日の欧州委員会の成長見通しの公表を待って、2013年の赤字削減目標の見直しを検討するとの見解を示した。ヨーロッパ全体の景気後退を理由に挙げている。22日の公表後、ブリュッセルで欧州委と協議するとし、「修正は協議の結果次第」と述べた。
エロー首相は先週、世界の成長見通しが大幅に下振れしたため、今年の財政赤字を「国内総生産(GDP)比3%に削減する」目標は、恐らく達成できないとの見方を明らかにしていた。モスコビシ財務相も、GDP比3 %の削減目標達成は困難という見解を示したが、景気循環に影響されない構造赤字については削減することを強調した。
オランド大統領は昨年5月の就任以来、財政赤字をGDP比3%に削減する目標に固執することで、EUと金融市場での信頼を支えようとしてきた。そのため海外各紙は、仏政府の今回の発表をショックな事態として報じた。
オランド政権はこれまで、税収拡大と公共支出の削減により財政赤字削減に取り組んできた。エロー首相は、「目標は(オランド大統領の任期である)5年以内に赤字がゼロになること」と述べていた。
しかし、フランス政府が予想する0.8%の成長を実現できても、さらなる歳出削減がなければ、GDP比3 %の削減目標は達成できないとタイム誌は指摘している。なお、欧州委員会はフランスの成長見通しを0.4%としており、より悲観的だ。
ただしタイム誌は、今年の赤字削減目標を断念したとしても、オランド政権がその目標に向かってこれまで取り組んできた施策等により、仏経済は徐々に改善し、2017年にはバランスのとれた予算となるだろうと楽観的にみている。
一方、仏会計検査院は先週、仏政府に対し、歳出を抑え税収を上げないようアドバイスしたとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。同紙はまた、年間所得100万ユーロ超の人に一時的に最高税率75%を課すというオランド大統領の問題の施策について、モスコビシ財務相が75%の税率は否定したと報じた。ただ、「例外的な税」として仏政府が富裕層向けの新税に取り組んでいることも同時に明かしたと伝えている。