アメリカの無人機攻撃は本当に有効なのか?

 2期目のオバマ政権でCIA長官に指名されていたジョン・ブレナン氏を承認するための公聴会(公開)が、7日、波乱の幕開けを迎えた。同氏はCIA勤務時、拷問への関与が取り沙汰されており、無人機によるテロリスト駆逐作戦を中心となって推し進めてきた人物と見られている。公聴会開催前には、抗議グループがブレナン氏に向かって「(無人機による)暗殺は憲法に反する」「無人機は子どもたちを死に追いやる」と叫び、退場させられる場面もあった。
 海外各紙は、無人機による攻撃の功罪を詳報している。

【とうとう公開】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、オバマ政権がついに折れたと報じている。2011年、CIAと米軍は無人機を使用して、アルカイダの中心人物の一人と見なしていたアンワル・アウラキ氏(米国とイエメンの二重国籍)を殺害しているが、同氏のアルカイダへの関与を裏付ける根拠などが書かれていると見られる覚書の公開をこれまでオバマ政権は頑強に拒否してきた(「アメリカ政府による暗殺は合法か?」参照)。
 しかしついにホワイトハウスは、ブレナン氏公聴会の前日に当たる6日に覚書を米議会情報特別委員会に公開するよう司法省に命じたという。

【オバマ政権と無人機】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、無人機による攻撃作戦は、オバマ政権になって急増していると指摘している。ブッシュ政権時代はおよそ50回であったが、オバマ政権になると350回に急伸したという。同紙は、ここ4年間国家テロ対策センター長を務めたブレナン氏の影響が強いと見ている。ただし、同氏はこのような攻撃はCIAではなく軍主導で実行されるべきであると述べたという。9.11以降のCIAは”幾分常軌を逸している”とも評したという。

【疑問の残る有効性】
 CNNは、無人機による標的を定めた攻撃が米軍の人命を救うことになる場合があるとしながらも、米政府が認めているよりも非常に多くの無実の市民が実際には殺されてきたという調査(独立機関の「調査報道ジャーナリスト協会」調べ)を紹介している。それによると、これまで363回の無人機による攻撃で一般人473~893名を含む2,634~3,468名が死亡したという。さらに、高度な標的は殺害された者の2%に過ぎないという調査もあるという。

 同紙はこのような現状を踏まえ、無人機による攻撃の有効性に疑問を呈している。ただし、有効性の問題については、現CIA長官のレオン・パネッタ氏が、パキスタンにおける攻撃を”非常に有効”であったとしており、”アルカイダのリーダーを殲滅するという点については街でゲームをしているに等しい”と述べたという。一般市民の殺害という点については、ブレナン氏が公聴会で”公式に認める必要がある”と述べたとニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

Text by NewSphere 編集部