歴史が変わる!?イングランド王リチャード3世の遺骨発見

歴史が変わる!?イングランド王リチャード3世の遺骨発見 英国レスター大学の研究者グループは、昨年9月に市庁舎駐車場の地中から発掘された遺骨が、15世紀のイングランド王リチャード3世のものであると発表した。今回の発見で、シェークスピア劇などで取り上げられてきたリチャード3世をめぐる謎が解けそうである。

【研究者たちの見解】
 フィナンシャル・タイムズ紙は身元の判定方法について紹介した。研究者グループは歴史的文献を調べ、リチャード3世の子孫である現存の人物2名を探し当て、彼らからDNAサンプルを採取し、遺骨から採取したサンプルと比較したと報じた。研究者グループは「両者は一致し、合理的な疑いを差し挟む余地がない」と遺骨がリチャード3世であると断定したという。
 またニューヨーク・タイムズ紙では歴史的伝承による証拠に注目。背骨のわん曲や「屈辱の傷(死後につけられる不名誉な傷)」など、言い伝えられているリチャード3世の身体的特徴に顕著な共通点がみられたと報じた。

【謎の解明】
 シェークスピアの書いた戯曲「リチャード3世」は彼をピカレスク(悪漢)的に描いたことで知られている。そのためリチャード3世は、権力欲の強い支配者で、王位に昇り詰めるため一族を殺害した、背骨の曲がった悪党というイメージが強い。
 ただ、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は彼の人物像について疑問視する。「このような見方はフィクションであり、リチャード3世を殺害して王位に就いたヘンリー7世が広めたもの」と主張する歴史家の発言を紹介した。また専門家は、彼がその時代では最も進歩的な支配者であり、外国貿易と書籍を積極的に奨励していたと主張しているという。遺骨の発見を通し、彼の本当の人物像に迫れるのではないかと同紙は期待を寄せている。

Text by NewSphere 編集部