ブラジル・ナイトクラブ火災 過去最悪の惨事の原因とは?


 ブラジル南部サンタマリアのナイトクラブ「キス」で27日、大規模な火災が発生し、少なくとも232人が死亡した。地元のバンドが午前2時ごろ、花火によるショーを行った際に火花が天井に引火した。発生当時、サンタマリア連邦大学の学生らによるパーティが開かれており、店内には約500人の客がいたとみられる。
 地元警察によると、少なくとも1つの出口が閉鎖されており、遺体の多くが出口近くのトイレ付近で見つかったという。ある生存者は、一部の人はこのトイレを出口だと思って駆け込み、閉じ込められたと述べた。
 火災を受けて、中南米・欧州の首脳会談のためチリを訪問していたブラジルのルセフ大統領は予定を切り上げ、現地へ向かった。大統領は27日のテレビで涙を流し、関係する家族に政府が支援することを誓った。
 海外各紙は、世界でも過去最大級の火災の1つとし、幾つかの問題点を提起した。

 まず今回の火災の要因の1つとして、花火ショーが挙げられる。ナイトクラブでの花火ショーによる大火災は過去にも何件か起こっており、過去最大のものは2000年に中国で309人の死者を出した火災だという。ほかにも、2004年にアルゼンチンのブエノスアイリスのナイトクラブで194人死亡、2009 年にロシアのナイトクラブで152人死亡、2003年にアメリカのロードアイランド州のナイトクラブで100人死亡していると海外各紙は伝えている。

 別の要因として、出口が閉鎖されていたことが挙げられる。地元消防によると、客たちは出口に殺到したが、警備員は客が精算を逃れようとしていると勘違いし退出を阻んだため、パニックが大きくなったという。ブラジルのナイトクラブやバーでは、ドリンク代は出るときに一度に清算するのが普通だという。しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「出口は閉鎖されていなかった」という生存者のコメントも掲載し、この点について報告が対立していると報じた。警察は、事故は調査中とだけ述べたという。ニューヨーク・タイムズ紙は、クラブ経営者に過失があったかどうかが問われるだろうと報じた。

 同紙はまた、ブラジルの官公庁は過去10年で大きく成長し、企業の細部を規定する法や規則が多くある一方で、リオ・デ・ジャネイロのビル崩壊、マンホール爆発、トロリー事故など、予防可能な災害で死者が出ていることを指摘した。

 2014年のワールドカップ、2016年の夏季オリンピック開催に向けて準備を進めるブラジルにとって、大きな課題が突きつけられる事件となった。

Text by NewSphere 編集部