マイクロソフト、減益も強気の背景とは

マイクロソフト、減益も強気の背景とは
 米マイクロソフト社は2012年10~12月期決算を発表した。売上高は前年同期比3%増の214億5600万ドル(約1兆9400億円)で、純利益は4%減の63億7700万ドル(約5760億円)となった。部門別の売り上げは、ウィンドウズ&ウィンドウズ・ライブ部門58.8億ドル(前年比24%増)、オンライン・サービス部門8.69億ドル(11%増)、サーバー・ツール部門51.9億ドル(9%増)、ビジネス部門56.9億ドル(10%減)、エンターテイメント・デバイス部門37.7億ドル(11%減)だった。
 昨年10月に発売した最新OS「ウィンドウズ8」がウィンドウズ部門での売上拡大に貢献したものの、その他のビジネス、エンタメ部門の落ち込みを相殺するには至らなかったようだ。
 海外各紙は部門ごとの業績や同社の楽観的な見通しなどを報じている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、「ウィンドウズ8」の発売は業績に貢献してはいるものの、2009年に「ウィンドウズ7」が発売された際には売上70%の大幅な伸びをみせたことに比べて、大ヒットとは言いがたいとされている。
 また、タブレット端末「サーフェス」は、販売ルートをオンラインや限られた直営店に絞ったことで、売上が低迷しているようだ。同社は「サーフェス」の販売台数については明らかにしていないが、100万台と予測されている。フィナンシャル・タイムズ紙によると、新製品の営業費用は15%増だったという。
 オンライン・サービス部門は11%増となったが、営業損失は2億8300万ドルと、縮小したものの引き続き赤字のようだ。エンタメ・デバイス部門では家庭用ゲーム機「Xbox」の売上が低迷した一方で、「ウィンドウズ・フォン」は前年同期比4倍以上となった。

 マイクロソフトは、昨年の年末商戦では史上最高記録を達成したとし、今後の展望についても楽観的な見通しを示した。各紙からは「低迷している」と指摘されている新製品の「ウィンドウズ8」と「サーフェス」についても、学びが多かったと前向きだ。フィナンシャル・タイムズ紙によると、同社は現時点での業績を受けて「パートナー企業と今後の戦略を練っている」とし、「適切なバランスのデバイス」製品を「さまざまな価格帯」で提供することを目指すという。ウィンドウズ8は斬新な製品だが、ハードウェア機器メーカーはまだその性能の様子を伺っている段階であり、対応機器の開発に積極的でないとも語っているという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、同社が「このような野心的な試みは、調子が出てくるまで時間がかかるものだ」と語る言葉を報じている。
 また同社は、「企業向け事業は当社プラットフォームに対する複数年契約によって力強く成長した。これにより、われわれは長期的な成長を目指す上で好位置についた」と述べており、これがウィンドウズ、サーバー&ツール、ビジネスの各部門での2桁成長に寄与したと報じられている。

 なお、スマートフォンやタブレットの普及で世界PC市場の出荷台数は減少傾向にあり、IDCなどは、世界基準でみればマイクロソフトの多少の低迷はましなほうだとしている。

Text by NewSphere 編集部