北朝鮮による露骨な挑発の意図は?
24日、北朝鮮の国防委員会は、3回目の核実験を実施することを明らかにした。その声明では、これまでカムフラージュしてきた長距離核弾道ミサイルの開発を公式に認めるとともに、ミサイルが米国本土を標的としていることを初めて明かした。これに対して米政府は、スポークスマンを通じて、北朝鮮による声明が無用な挑発であり、これ以上の挑発を行うならば、北朝鮮が一層孤立を深めると述べている。
海外各紙は、北朝鮮による核実験公表の狙いについて詳しく報じている。
【実際に核実験は行われるのか?】
フィナンシャル・タイムズ紙は、現在、新たな核実験のための準備が行われている兆候は表面上ないというパネッタ米国防長官の見方を報じている。ただし同紙は、衛星画像分析の専門家が、先月の終わりに、実験開始の準備は2週間で整うとしていたことも報じている。さらにパネッタ長官は、北朝鮮がこの種の実験を秘密裏に行うことができる能力があるとも述べているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。
なおウォール・ストリート・ジャーナル紙は、北朝鮮による3回目の核実験の時期を、韓国で新大統領が就任する2月25日と見ている。同紙によると、その時期は米国の安全保障を担う陣容が刷新される時期でもあるという。
【声明から分かる北朝鮮の方向性】
ニューヨーク・タイムズ紙は、まず、昨年12月に実施されたミサイルの実験から判断すると、金正恩氏が困難な経済改革よりも西側との対決に活路を見出した可能性があるという米情報機関高官の懸念を報じている。
さらに同紙は、金正恩氏が穏健な人物であり、経済的な援助を求めて西側と妥協するかもしれないとの期待があったが、24日の国防委員会の声明によって、亡父金正日氏の手法、すなわち、「ロケット発射-国連非難決議-核実験」という一連のサイクルを踏襲した可能性が高いと見ている。
ただし同紙は、北朝鮮の意図を把握することは常に難しいとしながら、アメリカをあからさまな標的とした今回の国防委員会による声明が、これまで同様、より多くの経済支援を勝ち取るための戦術である可能性も否定してはいない。同紙はその根拠として、(1) オバマ氏が「ロケット発射-国連非難決議-核実験」のサイクルを断ち切ろうとしており、(2)これまでも米国の目が他方に向けられている場合に同様の挑発行為が行われてきたということを挙げている。