オバマ大統領、2期目の課題と各国の反応は?
オバマ大統領は21日、ワシントンで2期目の就任演説を行った。15分ほどの演説で、「我々は取り組みが完全ではないことを認識しながらも行動すべきだ」と語った。また、「国民すべての‘生命や自由’の価値を考えることは、我々世代の役目だ」と述べ、富裕層と貧困層の広がる格差に焦点を置くことを表明した。
今後4年の優先政策課題として、医療制度、銃規制強化、税制や移民法の改革、気候変動問題、同性愛者の権利向上などを示したが、外交政策についてはあまり言及しなかった。
海外各紙は就任演説の内容を報じ、2期目の政権が抱える課題について分析した。
【就任演説の概要】
まず、共和党側が大幅削減を要求している社会保障プログラムについて、「我々が国を繁栄させるためのリスクを自由にとれるようにした」と述べ、これらの制度の保護を力強く主張した。
また、同性愛者の権利向上について、「同性愛の兄弟姉妹が法の下で平等に扱われるようになるまで、我々の旅は終わらない」と述べた。大統領が就任演説で「同性愛者」という言葉を使ったのは初めてだという。
移民法改革や銃規制強化についても言及したものの、詳細は述べなかった。関係者によると、来月の一般教書演説の際に、移民法の討論も始まる見込みだという。
そのほか、1期目で果たせなかった気候変動問題にも言及した。
【抱える課題】
共和党側は今回のオバマ大統領の演説を「対立的」ととらえており、今後も民主・共和両党のせめぎ合いが続くのは必至だ。マコネル共和党上院院内総務は、大統領に祝辞を述べたものの、両党は違うアジェンダだと明確に示したとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
また、大統領はイラク、アフガニスタンの戦争に言及したものの、外交問題について明確な方向性を示さなかった。しかしイランの核開発問題、中東・北アフリカの不安定化、アルジェリアなどでのテロ組織対策など、外交課題は山積しているとニューヨーク・タイムズ紙は指摘した。
【各国の反応】
不評だったブッシュ政権後の4年前、オバマ大統領は多くの国々で希望を持って受け入れられた。しかし2期目の今回は各国が異なる視点を持っているとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
中国は、オバマ大統領のアジア市場を取り込む戦略に不安を抱えている。また、世界最大の輸出国として、米国が保護貿易的な措置をとらないことを望んでいる。
ヨーロッパは米国にイランの核兵器開発を防ぎ、イラン指導者に経済制裁を下してほしい。また、財政政策の枠組みを確立し、世界経済を安定化させてほしい。
中東は米国への期待は高く、1期目の初期のように中東和平を目指してほしい。