EU脱退の可能性高まるイギリス、各国の慰留は成功するか?

EU脱退の可能性高まるイギリス、各国の慰留は成功するか? EU加盟条件の改善を求め、国民投票によるEU脱退も辞さずとする英国に、各方面から慰留の声が相次いでいる。キャメロン首相は近々、この件に関し重要な演説をするとみられている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、首相自身は脱退に反対で、EU残留により欧州単一市場へのアクセスと統治方法についての発言力が得られると主張している。一方保守党は、「ブリュッセルから課された不要なルール」が英国経済を妨げていると考え、「EUの絆」よりも、貿易パートナーシップに基づいた緩い関係を望んでいるという。世論調査でも脱退論への支持が増しており、首相の対応が注目される。

 米政府は9日、公式に懸念を表明。ゴードン欧州問題担当次官補は、「我々は、世界中で発言力を増している機関たるEUとの関係を、成長させています。我々はそのEUにおける、強い英国の発言を見てみたいのです」「それは米国の利益にかないます。我々は英国を含めた外向志向のEUを歓迎するものです」「1時間1時間をEU制度の化粧法の議論にばかり費やしているEUサミットは、雇用、成長、そして世界中の国際平和という共通の課題を解決する方法について、1時間も話していないと言って差し支えないでしょう」などと発言した。
 フィナンシャル・タイムズ紙によるとゴードン氏はまた、英国内政に干渉するつもりはないが、国民投票はしばしば国を「内向的」にしてきた、と懸念をあらわにした。ゴードン氏は、EU内の議論を反映するほど統一は難しくなるのであり、例えば最近のイラン石油禁輸制裁のように、EU諸国は協調してこそ力を発揮すると主張した。

 同紙に公開された英国ビジネスリーダーたちの書簡には、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が注目した。具体的には、「このような状況でそのような動き(編注:EU脱退)を求めるのは、EU加盟権を危険にさらし、英国のビジネスにとって有害な不確実性を作ることになります。それは首相が一番やりたくないであろうことです」との文面を伝えた。書簡は、EUとの取引関係はあっても欧州単一市場のルールについて発言権がないノルウェーやスイスのEU脱退運動の真似をする考えを、首相は却下できるはずだと主張した。また、雇用法とEU予算などの分野で、緊急にEU改革を求めた。

 ガーディアン紙(英)は、EU議長国アイルランドや、ファンロンパイEU大統領の言葉を伝えた。アイルランドのケニー首相は、条約をいちいち個々の国に合わせていたらEUの「水門」が開かれると警告、「連合を去る英国のような国こそ災難」だと述べた。ファンロンパイ氏は、「英国はEUの、非常に尊敬され、高く評価され、重要であるメンバーです。私は、英国が連合に留まって、単なる一加盟国ではない活発、完全、指導的なEU国であることが、英国の利益になると信じています。むろん、自らの将来を決定するのは英国民でありますが」とした。ファンロンパイ氏は条約変更が必要になる理由を否定し、また新条約の交渉開始には最低2年はかかると述べた。

Text by NewSphere 編集部