中道右派連合を結成したベルルスコーニ前首相の思惑とは?

中道右派連合を結成したベルルスコーニ前首相の思惑とは? 総選挙を2月24~25日に控えるイタリアで、ベルルスコーニ前首相は7日、自ら率いる中道右派の自由国民党(PDL)と北部同盟が政治連合を結成したと発表した。北部同盟トップのマローニ氏は、「ベルルスコーニ氏は首相に立候補しないとの要請を受け入れた」と述べた。
 またベルルスコーニ氏は、北部同盟との協定で、マローニ氏のロンバルディア州知事出馬を支援することに合意したという。ロンバルディア州はベルルスコーニ氏の地元で、隣州のベネト州とともに長年ベルルスコーニ氏と北部同盟の選挙基盤となっている総選挙の激戦州である。マローニ氏は「この合意で、我々はロンバルディア州で勝つと確信する」と語った。
 海外各紙は、今回の新しい政治連合の結成は自然な流れではないとし、ベルルスコーニ氏の思惑、そして来月の総選挙の行方について分析した。

 まず、ベルルスコーニ氏率いる自由国民党はモンティ首相の支持を撤回し辞任に追い込んだが、北部同盟は当時、支持撤回に猛烈に反対しており、スタンスは異なっていた。さらに、北部同盟支持者の多くは、脱税で有罪判決を受け未成年売春容疑でも公判中のベルルスコーニ氏と連合することに抵抗してきたという。

 それでも連合結成に至ったのは、最近の世論調査で、中道左派に大きくリードされている現状が要因だとみられる。今回の連合で、中道右派の基盤となる北部地域の勝利を得ることにより、上院における中道左派の支配を拒否し、発言力を確保するという分析がみられる。イタリアの選挙法では、各州で最も得票率の高かった政党に対して上院で追加議席が与えられる決まりになっているためだ。ニューヨーク・タイムズ紙は、ベルルスコーニ氏のねらいは「上院を麻痺させること」だと表現した。

 また、来月の選挙は、右派と左派の一騎打ちだった2008年の選挙と違い、中道派連合をつくった実務型首相のモンティ氏の参入と、反体制派の五つ星運動の躍進により、混戦となるだろうとフィナンシャル・タイムズ紙は分析している。

Text by NewSphere 編集部