[財政の崖]次に訪れる喫緊の課題とは?

 共和党のマコネル上院院内総務は6日、先週の財政の崖をめぐる協議で合意した富裕層向け増税以外にさらなる増税は認めないという見解を述べた。今こそ歳出削減に目を向けるべきであり、ターゲットは社会保障、メディケア、メディケイドなどの給付金であると語った。
 一方、民主党のペロシ下院院内総務は、財政の崖協議で増えることになった歳入では不十分だと述べ、税控除縮減などにより、さらなる歳入が必要との姿勢を示した。
 海外各紙は、財政の崖は土壇場で回避したものの、数ヶ月以内に交渉すべき喫緊の課題があると指摘した。

 まず債務上限の引き上げについて、米国は昨年末に16兆4000億ドルの債務上限に達しており、財務省は恐らく2月下旬までに債務返済のための追加資金を出す「異例の対策」をとると議会に通知した。しかしフィナンシャル・タイムズ紙は、財政の崖協議で2カ月延長された歳出削減が3月1日に執行するほか、財政赤字削減策など、ほかにも両党が対立している課題はあると報じた。
 さらにウォール・ストリート・ジャーナル紙は、現行の緊急法案が3月下旬に期限切れになる前に、9月30日までの残りの事業年度で政府に資金を出すための法案を可決しなければいけないと指摘した。そして、これらの締め切りが迫っていることで両党の交渉は難航するだろうと報じた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は共和党内の分裂に目を向け、先週富裕層増税に合意したことにより、今度の交渉でさらなる党内分裂が露呈されるだろうとみている。「共和党は中絶、同性婚、銃権利、移民などの問題から焦点をシフトさせなければいけない」という共和党元上院議員のコメントや、このプロセスから抜け出すには「アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、アジア人などのコミュニティに働きかけなければならない」という共和党のプリーバス全国委員長のコメントを掲載。共和党の喫緊の課題は、党の戦術を変えるか、もしくは銃や移民などの課題について党の長年の姿勢をじっくりと見直すかだと分析している。

Text by NewSphere 編集部