日銀に対する「安倍の逆襲」の行方は?
衆院選で勝利した自民党の安倍晋三総裁は18日、日銀の白川総裁と党本部で会談した。デフレ脱却に向け、日銀に対し、インフレ目標値の上方修正や国債購入など、金融緩和路線への協力要請を行った模様だ。安倍氏は、強力な金融緩和を推進する内容の政策協定(アコード)を、政府と日銀で結びたい意向も伝えた。ただ、白川氏は「今日はあいさつだけです。金融政策に関する 発言は差し控えたい」と述べた。
海外各紙は、政治からの独立性を堅持しようとする日銀が、19日からの金融政策決定会合でどう出るかに注目している。
フィナンシャル・タイムズ紙は、公然と圧力をかける安倍氏の「ショー」的スタイルは、日銀にとって政府の要求に屈したように見えるため、かえって協力を困難にさせるとの見方を紹介した。また白川氏が先月、日本はすでに「充分過ぎるほど緩和的な金融条件」を謳歌していると発言したことも指摘して、金融政策決定会合で大きな動きは期待できないとの論調である。
ブルームバーグ・ビジネスウィークは、2006年、景気が上向き始めたと見た日銀が5年にわたる緩和政策を終わらせたため、その後の安倍首相時代に再度の経済縮小を招き、安倍氏の人気が低迷、辞任に繋がったと報じた。選挙中の先月27日には、安倍氏は当時の日銀の政策は間違いだったと断じており、同紙は「安倍の逆襲」が始まるという見方を取り上げた。また日銀側にも元民間エコノミストの緩和推進派がおり、安倍氏にチャンスを与えていると指摘した。
なお、「さらなる緩和の見込みにより」、東京市場は、円が0.2%下げて対ドル84.01円と20ヶ月ぶりの低さになり、日経平均株価も1%近く上がって6ヶ月ぶりの高値となった、とも伝えている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本における中央銀行の独立保証が、海外先進国からは異端視されていることを指摘した。さらに、日銀が一部の経済指標に景気回復の光明を見出しているため、金融政策決定会合では譲歩しないのではないかと論じている。
また、「日本の一部の経営者は、財政規律を緩めることに警鐘を鳴らしている」とも伝えている。経団連は18日、安倍氏との朝食会において、2015年までに消費税を倍増させる計画を見失うべきではないと釘を刺し、また彼らが政府に求めるのは、財政再建への日本の取り組みについて「世界に保証すること」であると安倍氏に伝えたという。