FRB、QE3拡大へ-海外紙の評価は?
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は12日、初めて、失業率を金利政策の基準にすると発表した。これによると、失業率が6.5%を下回らない限り、短期金利を操作しないという(インフレ率が2%前後に留まることも条件)。FRBの見通しでは、2015年までには失業率が6%から6.6%になるとしている。その予測が正しければ、実質ゼロ金利が2015年まで続くことになりそうだ。
またバーナンキ氏は、9月から開始された資産購入を継続、強化することを表明している。毎月450億ドルの国債を買い入れることによって、より大量の資金を市場に流すねらいだ。ただし、国債買い入れの原資については、短期国債を売ることによってではなく、市中銀行の支払準備金を引き上げることによって対応することになる。
フィナンシャル・タイムズ紙は、市場が低金利に慣れている状態に警告を発する銀行家の見解を紹介している。それによると、投資家が低金利による損失をカバーするために比較的高利率の社債を積極的に買い入れているため、バブル気配にあるという。長期的な負債を抱えるポートフォリオによって、これらの資産が買われているが、いつか起きる逆の動きによって損失が生じることになるという。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、インフレの懸念を論じている。同紙は、市中銀行の支払準備金を引き上げることによって、FRBが国債を購入資金に充てるという方法が、本質的には紙幣を刷ることに他ならず、インフレの危険性が高まるとしている。さらに、多くの評論家が、これまでのFRBの経済刺激策をすでに過剰であるとみなし、インフレおよび財政バブルの到来を懸念していると報じている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、これまでの期日ベースの政策から閾値ベースの政策にFRBが転換したことに対して一定の評価を下している。期限を切った政策による混乱が回避できるようになるというのだ。ただし、同紙は、FRBによる失業率の動向予測がこれまでも繰り返し楽観的に過ぎていた点に関して言及している。