世にも奇妙な「維新の会」―海外紙の分析―
16日に行われる衆院選を、海外紙はどう報じているのか。
まずウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本の各新聞が実施した世論調査の結果を報じた。同紙によれば、朝日、産経、読売、など主要紙が行った調査においても、自民党が復権を果たすことが見込まれていると報じた。今回は自民党が自力で300以上の議席を獲得し、公明党との連立で320議席を超える可能性があることも報じられた。もしこれが実現すれば、衆議院で3分の2の議席を確保することができ、いわゆる「ねじれ国会」が解消する。
フィナンシャル・タイムズ紙は、「日本維新の会」でタッグを組むことになった、石原氏と橋下氏の関係を「奇妙」と報じた。彼らは、官僚体制の脱却や外交方針などでは考え方が一致しているが、意見が全く異なっている分野もあり、有権者の混乱を招いていると指摘。例えば原発の問題では、橋下氏は反対の姿勢を示していたのに対し、石原氏は強く推進する立場であり、核兵器所持にも言及していたという。またTPP交渉への傘下をめぐっても意見は食い違っていることを紹介。このような分裂が支持率を低下させることにつながっている、という専門家の意見は掲載した。
ニューヨーク・タイムズ紙は、石原氏に特に注目した記事を掲載。石原氏の目指すものは大きく分けて2つあると指摘した。1つは、外交における日本の強力な立ち振る舞いである。「私は中国に馬鹿にされ、アメリカの奴隷国としての日本で死にたくない。日本はもう一度力強く立ち上がれる。」というコメントを紹介。同紙は、石原氏が少年時代に受けた外国人からの仕打ちなども影響しているのではと報じた。2つ目は、官僚体制や既得権益の改革である。
石原氏の愛国的な姿勢に対しては、長期的に国家主義的な考え方が広まる危険性を指摘する一方、「それ(右傾化)に日本がついていくとは思えない」というコメントも紹介している。