オバマ「財政の崖」回避に向けた新たな一手とは?
年明けに減税失効と歳出の自動削減が重なる「財政の崖」問題をめぐり、民主・共和両党は依然、「共和党は富裕層増税に合意すべき」というオバマ大統領の要求をめぐり対立したままだ。オバマ大統領は5日、経済団体ビジネス・ラウンドテーブルでの講演で、共和党が富裕層増税に合意すれば、約1週間で決着できるとの認識を述べた。これが問題回避に向けた最大の争点であることが浮き彫りになった形だ。
オバマ大統領は、共和党との交渉に決着をつけるため、民間セクターに協力を求めようとしていると報じられている。実際、多くのビジネスリーダーは、先週、オバマの富裕層増税案を支持すると表明した。顧問であるデビッド・プルーフ氏は、「彼らは共和党に特別な影響力を持っている。彼らが共和党側に妥協するよう言えば、実際に影響があるだろう」と述べた。しかし、どれだけのビジネスリーダーが共和党に働きかけるかはわからないとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
また民主党は、「財政の崖」問題に対し、連邦債務上限の引き上げを盛り込む必要があるとの見解を示した。連邦債務は1~2月に法定上限に達し、デフォルト(債務不履行)の可能性も指摘されている。
これに対し共和党は、上限引き上げと同等額の歳出削減を保障することが容認の条件だとしている。共和党は、来年この問題を交渉の主な切り札とするつもりだとフィナンシャル・タイムズ紙はみている。同紙は、「オバマに歳出を削減させ、規制を抑制させるツールとして、共和党は債務上限引き上げを認めるべき」という反税活動家のコメントも掲載している。
なおウォール・ストリート・ジャーナル紙は、我々はエコノミストの実験用ラットであるとし、財政の崖について、だれもどうなるかわからないと悲観的に報じた。