シティグループ、1万人リストラの内幕

シティグループ、1万人リストラの内幕 5 日、シティグループの CEOマイケル・コーバット氏は、世界で 1 万 1,000 人規模の人員削減を実施すると発表した。この数字は、シティグループ全従業員 26 万 2,000 人の 4 % に相当する。その主な内訳は、法人銀行部門で 1,900 人、コンシューマーバンク部門で 6,200 人となる。シティグループは、2007 年末以来合計で 10 万人以上の削減を実施してきた。
 またコーバット氏は、世界で84 の支店 (米国の 44 支店を含む) を閉鎖することを合わせて発表した。米株式市場はこの発表を歓迎し、6 日のシティ株は 6 %の上昇を見せた。今回のリストラ計画により、2014 年以降の年間経費は 11 億ドル削減される見通しとなる。なお、同氏は、今後もリストラ策を実施しなければならない状況にあると述べている。
 シティグループが大胆な縮小策を取る内情とは?

 フィナンシャル・タイムズ紙は、今回のリストラ計画が役員異動実施前に発表されたために、アナリストたちが驚いていると報じている。同紙は、コーバット氏が迅速に再建策を講じることによって、それに必要となる経費 11 億ドルを、CEO 就任後初となる四半期に計上できるようになると見ている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、関係筋からの情報として、CEO にコーバット氏が指名された時には、人員削減計画がすでに進行中であったと報じている。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、マイケル・オニール会長が前 CEO のヴィクラム・パンディット氏を解任し、コーバット氏を指名した後にリストラ計画が発動したと報じている。同紙によると、オニール会長は、経営陣に加わった 2009 年の時点で、リストラに熱心であったという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、前 CEO のパンディット氏がことあるごとに経営陣と対立していたと報じている。
 このように、今回のリストラ計画が同グループにおける権力構造の変化と密接に関係することが窺い知れる。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、金融界全体のリストラ志向の一部として、今回の人員削減計画を捉えている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、金融危機以来、低成長と収益を圧迫する新たな規制によって、業界全体がコスト削減と業務簡素化を余儀なくされていると報じている。なお、フィナンシャル・タイムズ紙は、今回のリストラ計画に関するシティ行員の否定的なコメントを掲載している。それによると、コンシューマーバンク部門の人員カットは、他部門よりも小規模であるため安易に過ぎるという。

Text by NewSphere 編集部