海外紙の「財政の崖」回避への見通しとは?
年明けに減税失効と歳出の自動削減が重なる「財政の崖」が迫る中、民主党と共和党は予算交渉で依然、対立している。このまま行き詰まり対策が行われなければ、景気後退を招く危険がある。
オバマ大統領は先週、共和党との財政赤字削減交渉で、1兆6000億ドルの増税、債務上限の引き上げ、4000億~6000億ドルの歳出削減などを提案した。これに対し、共和党は態度を硬化させた。財政の崖を避けるため、民主・共和両党とも譲歩する用意はあるものの、先に妥協の意向を示すと交渉で不利になるため、互いに出方を伺っている状況だ。
海外各紙は、「財政の崖」克服に向けた戦いを分析した。
ニューヨーク・タイムズ紙は、両党の対立点を取り上げた。民主党は、「財政の崖」回避のためには、増税と歳出減(社会保障以外)を組み合わせた案を主張している。しかし共和党は依然として富裕層増税に反対であり、税制改革などによる歳入増とヘルスケア支出減を組み合わせた案を主張している。
オバマ大統領の基本姿勢は、両党が合意に至らず、すべての米国民の税率が一時的にでも上がるのは避けたい考えだという。そのため共和党は、最終的には増税廃止に応じるだろうとみている。フィナンシャル・タイムズ紙は、幾つかの譲歩を示した共和党の妥協案にオバマ大統領が反対するかどうかが問題だと報じた。オバマ大統領が共和党の合理的な申し出を拒否すれば、財政問題が長引き、第2期オバマ政権にとって不利だと同紙はみている。
オバマ大統領は30日、ペンシルベニア州のおもちゃ工場で、中間層向け減税延長への支持を訴えた。これに対し共和党は、議会での直接交渉ではなくイベントを開いて政策を訴える、オバマ大統領のスタイルに不快感を示した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回オバマ大統領は企業幹部らを見方につけようとしていると報じた。両党の議員は、オバマ大統領の動きと言葉のレトリックに注目し、彼が信念を守るか、それとも共和党の圧力に屈するかを見守っていると報じられている。