中国の住宅バブル再燃はあるか?
中国の大都市住宅価格が、緩い上昇傾向に入っている。民間の調査機関、中国インデックス・アカデミーと中国リアルエステート・インデックス・システムの3日の発表は、11月の中国主要100都市の新築住宅平均価格が10月から0.26%上昇して、1平方メートル当たり8791元になったとした。また100都市のうち60都市で価格は上昇、38都市で下落、2都市で横ばいだという。国家統計局によると、10月は70都市のうち35で上昇、17都市では下落、18都市で横ばいであった。不動産開発業者の営業成績も好調で、それにより業者の資金調達コストが低下する好循環にあり、住宅の値引きが削減または中止されてきている。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは29日、中国の不動産部門の見通しを「ネガティブ」から「安定的」に格上げした。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「今買わないと来年はさらに値上がりするかもしれない」との心理が市場に表れ始めていることを伝えている。また同紙およびグローバル・タイムズ(中国)紙は、「上海と重慶で試験的に導入されている固定資産税が来年、全国に拡大しそうだ」との憶測が飛び交っていることを伝えている。
住宅価格の上昇は中国経済復調の証拠であるかも知れず、また不動産部門の好調は(鉄や銅など原材料の調達含め)実際に経済を強力に牽引しうるものではあるが、しかし各紙は、近いうちに急激な価格上昇まで至ることはないとみている。住宅在庫がまだ大量に残っているうえ、中国政府は住宅バブル再燃を警戒していて、銀行から開発業者への融資や、2軒目の(住居用でなく投機目的の)住宅購入を禁止する規制政策を続けているためだ。ただしフィナンシャル・タイムズ紙は、こうした規制には抜け道があること、規制当局もそれを承知しているが経済成長のためにある程度黙認している側面もあることを指摘している。