スペイン銀行救済決定だが。その後の波及は?

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spain_160_w 28日、スペイン第4の規模であるバンキアはじめ、カタルーニャ銀行、NCGバンコ、バンコ・デ・バレンシアの4銀行への、計370億ユーロのEU公的支援が決定した。6月に決定した1000億ユーロのスペイン銀行救済策の一環であり、最初にして最大の支援フェーズである。

 バンキアは今年、190億ユーロというスペイン銀行史上最大の損失を計上する見込みであるが、融資を受け来年からは黒字を取り戻し、2015年には15億ユーロの利益達成を考えているという。その代わりバンキアには、従業員の約3割に当たる6000人の解雇、支店網39%の閉鎖、不動産開発融資からの撤退、株式資産売却、2014年までの無配当、といった厳しいリストラ義務が課される。
 カタルーニャ銀行、NCGバンコ、バンコ・デ・バレンシアにはそれぞれ91億、54億、45億ユーロが注入され、やはりリストラ計画を試みるが、バンコ・デ・バレンシアは単独では再起不能とみなされ、カイクサバンクに買収されることとなった。
 また政府は、バッドバンク(不良債権を買い取る銀行)の創設を12月に予定しているが、ニューヨーク・タイムズ紙は、現情勢下でのバッドバンクの有効性については不透明と論じている。

 最も波乱を呼びそうなのは、個人債権者に損失が及ぶことであり、これら銀行の優先株式の保有者は39%、永久劣後債(期限なし劣後債)保有者は46%、満期日付き劣後債への投資家は14%の損失が予想されるという。このような商品約300億ユーロ分が、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば「あたかも貯蓄商品ででもあるかのように、何十万人の預金者に販売されていた」という。反発を恐れるスペイン政府は、彼らの損失を制限するようEUを説得しようとしたが、認められなかった。ニューヨーク・タイムズ紙は、5月にバンキアが崩壊した際、銀行及びその監査人が株式公開時に不正確な上場目論見書を作成していたとして経営陣が株主たちから訴えられたことに触れ、法的闘争への発展を示唆している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、銀行界の回復はスペイン経済の回復のために不可欠との意見を伝える一方、急激な金融再編は家計や企業にしわ寄せをもたらし、かえって経済にリスクを与えるおそれもあると懸念している。

Text by NewSphere 編集部