シャピロSEC委員長が辞任へ―海外各紙は、残された規制課題などを懸念―
米証券取引委員会(SEC)のメアリー・シャピロ委員長(57)は26日、12月14日付で辞任すると発表した。オバマ大統領はエリス・ウォルターSEC委員を暫定委員長に指名した。彼女の任期が終わる2013年末までに、本格的な後任を公表するとしている。
後任候補として、メアリー・ミラー財務次官、金融取引業規制機構(FINRA)のリチャード・ケッチャム会長、バンク・オブ・アメリカ元会長のサリー・クロウチェック氏、商品先物取引委員会(CFTC)のギャリー・ゲンスラー委員長らの名前が挙がっている。
シャピロ氏は2009年、マドフ氏の巨額詐欺事件などでSECが揺らぐ中、初の女性委員長に就任した。海外紙は彼女の功績を称えつつ、残された喫緊の課題について懸念を示した。
まず、シャピロ氏の功績として、インサイダー取引事件の調査件数の増加や、住宅ローン関連債権の取引でゴールドマンサックスを証券詐欺罪で提訴したことがあげられた。また、彼女は議会でも成功を収め、SECが議会から大幅な予算制約を受ける中、約50%もの予算増加を達成した。ニューヨーク・タイムズ紙は、前任者のクリストファー・コックス氏がこれを「計り知れない功績」と称えたと報じた。
一方、2兆6000億ドル規模のマネーマーケット・ミューチュアルファンド(MMMF)業界の規制強化策は今年夏、失敗に終わったと指摘される。その他、ドッド・フランク法(金融規制改革法)が成立して2年以上たつが、デリバティブ(金融派生商品)規制とボルカー・ルール(銀行規制強化案)がまだ策定されていないと、フィナンシャル・タイムズ紙は指摘した。この件について、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、本格的な後任者が決まるまで棚上げされるだろうとみている。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、シャピロ氏はCATと呼ばれるコンピューター化されたモニタリングシステムが自身のSECでの最大の成果だと思っているという。しかし暫定的に指名された次期委員長ウォルター氏が反対しているため、このシステムがすぐに作動するのは難しいとも指摘される。
シャピロ氏は退任後の計画については明らかにしていない。今、地元の動物愛護施設でボランティア活動をする時間を見つけているとだけ述べた。