東アジアサミット閉幕―南シナ海めぐり米中対立―
カンボジアで開催されていた東アジアサミットが21日、閉幕した。南シナ海の領有権をめぐる、中国とフィリピン・ベトナムなどの対立への対応が焦点となった。「当事国同士の解決」を強調する中国と、「国際法に基づいた解決」を主張し、フィリピンやベトナムらを後押しするアメリカの対立が鮮明になった。尖閣問題を抱える日本も賛同の姿勢を示した。
また、日中韓・ASEAN・インドらが、「東アジア包括的経済連携(RCEP)」の交渉開始を宣言。アメリカ主導の「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」に対抗する動きとして注目を集めた。
海外各紙は、南シナ海問題をめぐる各国の動向と、RCEPやTPPの交渉開始が及ぼす影響を報じた。
対立を象徴するできごととして、東アジアサミットの議長声明案をめぐり、議長国で親中的なカンボジアに対し批判があがった。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、南シナ海問題の「国際化」を避けるといった中国に有利な内容に批判が集まったという。アメリカなど他国の介入を恐れたことから追加された文言とみられる。中国はこの声明について満場一致で決まったとしたが、アメリカの同盟国であるフィリピンは公然とそれを否定した。その後、シンガポールやブルネイ、ベトナムなども加わり、最終的にその合意があったという文面は削除された。なお、カンボジアに対する批判に対し、中国は「カンボジアは地域の安定を守りたいだけだ」として、カンボジアを擁護した。中国はカンボジアへの支援金などの疑いを否定し、フィリピンやベトナムが地域の調和を乱しているということを示唆した。
一方オバマ米大統領は、アジア諸国の自制と、地域包括的な会議による解決を主張した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回のサミットで10ヶ国以上の異なった国の間で合意を得ることの難しさが露呈した結果になったとも報じた。同紙は、ASEAN諸国が中国の狙いを読み切れないままサミットを終え、中国は信頼の喪失を招いたと指摘した。
RCEPの参加国はASEAN諸国、オーストラリア、中国、インド、日本、ニュージーランド、韓国の計16ヶ国であり、アメリカは参加していない。これに対し専門家は、アメリカ主導で中国は不参加であるTPPに対抗していると指摘。実際、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じるように、TPPに中国を含めないことが中国へのプレッシャー強化だと認めている。どちらも今後の急成長が見込まれるアジア諸国が中心のため、緊張がさらに高まる恐れがあるともいわれる。