オバマ大統領、ミャンマーを訪問―海外紙は評価を掲載―

アウンサンスーチー オバマ大統領は19 日、現職の米国大統領として初めてミャンマーを訪問した。まず、テイン・セイン大統領および民主化運動指導者のアウンサンスーチー氏と会談した。その後、かつて民主化運動の拠点となったヤンゴン大学で演説を行い、ミャンマーの民主化改革が後戻りできないこととして聴衆を沸かせるとともに、改革にはさらに前途があると述べた。ミャンマーの憲法では、国会議員の 25% を軍人が占めなければならないことになっているが、オバマ大統領は、憲法の改正、軍のシビリアン・コントロール、権力の監視と均衡、言論の自由、政治犯の処置などが必要であると述べ、民主化への道のりを示した。2015 年に実施される選挙の結果およびそれにともなう憲法改正を軍が受け入れるかどうかが注目される。
 海外紙は、訪問に対する相反する評価、および、ヒラリー・クリントン氏の動向に焦点を当てた。

 オバマ大統領によるミャンマー訪問を巡る評価について、フィナンシャル・タイムズ紙はまず、訪問を要請したミャンマー高官が「改革のお墨付きをオバマ氏から得た」と捉え、喜びを隠し切れない様子だと報じている。また同紙は、民主化運動の団体が、訪問を時期尚早としていることにも触れている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、改革の範囲と継続性に対して疑問を抱く声を紹介するとともに、アウンサンスーチー氏が“現在の改革に満足してはならない”と警告を発していることにも触れている。また同紙は、ミャンマー政府が、赤十字が囚人と面会することを許可し、核拡散条約への署名を約束したことに対して、オバマ大統領が一定の評価をしていると報じた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、ヒラリー・クリントン国務長官の去就を絡めて報じている。同紙によると、ミャンマー訪問後に長期の休養に入るクリントン国務長官にとって、今回が最後の外遊となるそうだ。ただし、オバマ大統領も含めてミャンマーに同行した多くの政権スタッフが、休養が終わった時の 2016 年大統領選で、オバマ氏の後継候補となることを望んでいると同紙は報じている。さらに同紙は、オバマ氏を引き立てるために常に一歩下がって見守るクリントン氏に対して、オバマ大統領が賛辞を贈っているとした。また前の訪問先のタイで、オバマ氏が次期大統領にクリントン国務長官を指名したと報道された件を取り上げた。なお、この件は両氏の側近が否定しているとのことだ。

Text by NewSphere 編集部