中国共産党大会、人事の行方は―海外紙は、胡錦濤氏の動向に注目―
第 18 回中国共産党大会では、胡錦濤氏が国家主席から退き、現国家副主席の習近平氏がその座に就くことが既定路線であると見られている。それにともなって、胡錦濤氏が軍トップの職からも離れるのかどうかが、ここに来て注目されている。また、同氏の側近である胡春華氏(モンゴル自治区委員書記)の処遇についても取り沙汰されている。
海外紙は、胡錦濤氏の今後の影響力に注目した。
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は、胡錦濤氏が国家主席を退任するだけではなく、人民解放軍トップに位置づけられる軍事委員会主席からも引退するかどうかという点を巡って、異なる見解を取り上げている。北京の政治評論家は、胡氏は軍トップに留まるほど野心的ではなく、その力もないと述べている。一方、シンガポール紙は、習氏と取り引きして軍事トップに留まるという報道を行なっている。中国共産党による人民解放軍のコントロールは中国において最重要視されているということもあり、胡氏が、前任者同様軍事委員会主席に居座るならば、習近平氏の指導力は低下すると分析されている。
一方、フィナンシャル・タイムズ紙は、胡錦濤国家主席の影響力を別の観点から論じている。同紙は、胡錦濤国家主席の後継者である胡春華・内モンゴル自治区委員書記をクローズアップするとともに、中国独特の権力の禅譲システムについても報じている。毛沢東世代を第一世代とするならば、49 歳の胡春華氏は第六世代に当たる。この第六世代が権力の座につくのは第五世代の習近平氏の次である。フィナンシャル・タイムズ紙によれば、今回の中国共産党大会において、その胡春華氏ら第六世代に要職が与えられるという見方がある。胡春華氏は、胡錦濤氏によって中国共産主義青年団(共青団)の書記に任命され、2009 年までには史上最年少で省長(河北省)に選出された。同紙によると、胡錦濤氏と胡春華氏の関係は師弟関係をなしている。そして、これが中国独特の指導者を創り出す方式であるため、後任者は、前任者と非常に似通った指導者になると指摘している。