共和党、移民政策に柔軟姿勢―融和への一歩か、一時的なポーズか?―
米共和党が、移民政策に柔軟な態度を見せ始めた。
共和党のベイナー下院議長は、8日にABCニュースのインタビューに対し、 「大統領とわれわれには移民問題解決に向けた共通基盤がある」と述べた。さらに9日にも、「国境の安全を守るための一歩ずつのアプローチを支持し、移民の仕組みを正常化していく必要がある」旨をコメントした。
ロムニー氏をはじめ、移民政策には強硬な姿勢を示していた共和党が変化したきっかけは、大統領選において、70%近いヒスパニック票がオバマ大統領に集まったことだとフィナンシャル・タイムズ紙は指摘した。また、「財政の崖」問題に加え、移民政策の改革が、産業界と両党にとって最優先で対策すべき問題だという。ニューヨーク・タイムズ紙は、法律関係者などの受け入れや、不法移民の雇用の安定などにより、経済の活発化を狙う意味もあると報じている。
こうした姿勢の変化に対し、期待と疑問が寄せられている。実際ベイナー氏の発言は抽象的であり、移民政策に関し今後どのような歩み寄りがみられるかは未知数だ。ニューヨーク・タイムズは両党の意見を取り上げた。一部の民主党議員からは、不法移民の市民権取得に道を開けるよう、徐々に共和党と協力を進めていくべきという前向きな意見があるという。逆に共和党内からは、現状の移民法が十分に機能していない状態での改正を危険視する声も挙がっている。